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仕事・人生

ウエイトリフティング日本代表から敏腕広報へ 松本潮霞さんの今

公開日:  /  更新日:

著者:河野 正

ウエイトリフティングのシングレットを卒業し、スーツに身を包む松本潮霞さん【写真:荒川祐史】
ウエイトリフティングのシングレットを卒業し、スーツに身を包む松本潮霞さん【写真:荒川祐史】

 ウエイトリフティング女子63キロ級の第一人者で、2016年のリオデジャネイロ五輪に出場した松本潮霞さんが昨年現役を引退し、今年1月から所属先であるセキュリティサービス大手の綜合警備保障株式会社(ALSOK)の会社員として第2の人生をスタートさせました。現在は本社のある東京・元赤坂のオフィスで毎日奮闘中です。持ち前の粘り強さと明るさで新たな環境に挑戦する日々についてお伺いしました。

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姉の監督から熱心な勧誘でウエイトリフティングをスタート

 千葉の強豪・松戸国際高校でウエイトリフティングを始めた松本さんはすぐに頭角を現し、全国大会での優勝をはじめ、13~17歳の選手で争う世界ユース選手権にも日本代表として出場。早稲田大学在学中には全日本女子選手権2連覇や大学新記録を樹立し、2014年にALSOKウエイトリフティング部の1期生として入社しました。

6歳上の姉の影響でウエイトリフティングを始めた松本さんは7人兄弟の末っ子【写真:荒川祐史】
6歳上の姉の影響でウエイトリフティングを始めた松本さんは7人兄弟の末っ子【写真:荒川祐史】

 ウエイトリフティングに出合ったことで一流アスリートへと栄達し、ALSOKで会社員としてセカンドキャリアを歩むことになった松本さんですが、始めた当初はウエイトリフティングにはあまり関心がなかったのだそう。中学から砲丸投げに取り組み、高校入学後も陸上部に入部しましたが、同じ松戸国際高校で6歳上の姉・萌波さんを指導した監督から熱心にウエイトリフティング競技への勧誘を受けました。最終的に松本さんが根負けし、陸上部とのかけもちで競技を始めることになったのです。姉の萌波さんも全日本女子選手権を2度制した実力者でした。

「筋肉がつくことを避けられない競技ですからね……。好んで入部する年頃の女子高校生はいないので、ずっと断っていたんです」と苦笑い。大学進学後もウエイトリフティングを極めようとは考えていなかったのだそうです。では昔はどんな夢を描いていたのでしょう?

「小学生の頃は教師や宝塚歌劇での男役に憧れ、中学では声優として世界で活躍することでした。人とはあまりかぶらないものが多かったですね。そんな私の運命を変えてくれたのがALSOKでした」

 陸上や水泳、体操といった五輪競技に比べるとウエイトリフティングはマイナー競技だけに、部を設けて強化に力を注ぐ企業は多くありません。それゆえ、松本さんも一般学生と同じように大学3年から普通に就職活動を始め、「仕事が終わった後に競技を続けられたらいいかな、くらいにしか考えていませんでした」。