仕事・人生
宝塚史上でも類を見ない結束力の74期 元男役はやせ翔馬さんが語る同期への深い愛情
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教えてくれた人:竹山 マユミ
歴史と伝統に彩られた宝塚歌劇団において、度々クローズアップされるのが同期の絆。その中でも“全員”参加で30周年記念公演を大成功させた74期は、そのつながりの深さや強さが宝塚史上でも類を見ないといわれています。宝塚の世界をOGたちの視点からクローズアップする企画「Spirit of タカラヅカ」。はやせ翔馬さん(元雪組男役)インタビュー後編は、5人ものトップスターが生まれた同期の結び付きなどについて語ります。聞き手はフリーアナウンサーの竹山マユミさんです。
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今も持ち続ける同期への愛情 「困った時は身代わりになってもいい」
竹山マユミ(以下竹山):はやせさんの今の活動を支えてくれたのは、やはり宝塚時代の同期である74期生だったというお話をしていただきました。74期は本当に絆が強いことで有名ですよね。
はやせ翔馬(以下はやせ):私が以前経営していた「ライブカフェはやせ」がなかなか軌道に乗らなかった時、同期の美郷真也(元宙組男役)さんや初風緑(元花組・月組男役)さんに相談をしたら、とても力になってくれました。そこから同期だけではなく、OGの上級生や下級生にも手を貸していただき、本当に幸せな空間と時間を作ることができたのです。やはり頼れるものは同期生です。
竹山:そうした同期の絆はやはり、宝塚音楽学校時代から培われたのでしょうか。
はやせ:音楽学校で1期上の73期生の方々に厳しくご指導していただいたおかげで、74期の絆は本当にグッと固まりました。ですから、“連帯責任”を教えてくださった73期生の方々には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
音楽学校では、お掃除や鼓笛などいろいろなことを学ぶ上で、同期生の中に「長」と呼ばれる責任者が置かれます。同期生が失敗したことに責任がある立場として、長が指導を受けます。だから同期生はそうならないように頑張る。でも、失敗がない日はありませんから、泣かない日もなかった。予科生(音楽学校の1年生にあたる)の時はそんな1年間でした。
それでも、みんなで泣きながら励まし合って助け合った1年間は大きかったです。それもすべては、情熱をもって指導してくださった先輩方のおかげだと思います。今の時代にはちょっとないシステムでした。今はどんな風になっているか詳しく知りませんが、当時の私はいい経験をさせてもらいました。
竹山:同期生全員が、長い人生の中で1年厳しさに耐えたことで絆が生まれ、そこでみんなのためにという思いを貫き通した1年だったのですね。
はやせ:そうですね。困ったことがあれば、一人ひとりの身代わりになれるくらいの愛情を持っています。何かあれば自分が矢面に立つくらいの気持ちをそれぞれが持っていると思います。
竹山:そうした愛情が宝塚の舞台には脈々と受け継がれていて、観ている私たちにも伝わるところなのでしょう。皆さんが輝いていらっしゃるわけですから。
はやせ:やはり、好きなことをやらせていただいているということは幸せですからね。