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安倍元首相の銃撃映像で心の不調を感じる…精神科医が警鐘 「1人で抱え込まないで」

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

教えてくれた人:木村 好珠

感謝の言葉を発すると、抗ストレス作用のホルモンが分泌

アスリートらをサポートする他、企業の産業医も務める精神科医の木村好珠さん【写真:荒川祐史】
アスリートらをサポートする他、企業の産業医も務める精神科医の木村好珠さん【写真:荒川祐史】

――診断を受ける以外の対処法はあるでしょうか。

 1人で抱え込まないこと。このような時こそ、人に頼ることは大事です。自分がリラックスできる人と時間を過ごし、楽しい時間を共有しましょう。そして、感謝を口にしてください。それによって、抗ストレス作用があるホルモンのオキシトシンが分泌され、心身の状態が良化することもあります。

――リラックスできる相手が身近にいない場合は。

 1人で楽しめることに時間を費やし、そこで感じたことを家族や友人に伝え、共有してください。

――不安を忘れるために、お酒を飲みすぎてしまうこともあると思います。

 飲みすぎはいかなる時も良くありませんが、「酒うつ」という言葉があるくらい、アルコールにはうつを引き起こすリスクがあります。そして、酔いつぶれることで睡眠障害にもなる可能性もあります。酔って寝ることは気絶と同じで、一時的に深く眠ることはできますが、いったん目が覚めると覚醒して眠れなくなることも。そうなると、健康状態が悪化し、事件で受けたショックに加えてメンタルの状態はさらに悪化します。

――改めて、こうした状態に陥った時、どのような心の持ち方をすればいいでしょうか。

 まずは、「ショックを受けるのは自然なこと」と思ってください。これだけのことが起きてしまったのですから。そして、今ある小さな幸せや目の前にいる人、できることを大切にする日々を過ごしてください。健康な人にも何かしらの不安はあるものですし、心が不安定な時は幸せなことよりも不安に目がいきがちです。その状態で先のことを考えすぎると、どんどん不安は膨らみます。そこは気をつけてください。

(柳田 通斉)

木村好珠(きむら・このみ)

1990年2月28日、東京都生まれ。東邦大学医学部卒。大学1年生で準ミス日本に輝き、芸能活動を開始。日本テレビ系「シューイチ」などに出演した。2014年に医師免許取得。慶應義塾大学病院での研修後は精神科医に。現在は脳疲労専門メディカルスパ「ブレインパーク」などでクリニック勤務を続けながら、産業医として企業の健康づくりに携わる。また、J1北海道コンサドーレ札幌のアカデミー、J2横浜FCのアカデミーでもメンタルアドバイザーを務めている。趣味はサッカー観戦とアニメ鑑賞。ホリプロ所属。