仕事・人生
ドラマ「オールドルーキー」で注目 スポーツマネージメントって何? 元五輪関係者が解説
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求められる能力は“想像して準備する力”や“臨機応変かつ瞬時の対応力”
スポーツマネジメントの仕事では、個人から団体までさまざまな人たちと関わります。中でも常に真剣勝負の場に身を置く現役選手は、パフォーマンスの良し悪しによってキャリアが大きく左右される特殊な立場。競技で最高の力を発揮するため、マネジメント側の人たちに無理難題とも取れるリクエストをすることはあるのでしょうか。
岩元さんはこれについて「無理難題と思われることであっても、当事者からすると至って真面目なお願いです」と語ります。そしてJリーグクラブチーム勤務時代のあるエピソードを教えてくれました。
「ある選手が、クラブハウスに試合用のスパイク(シューズ)を置き忘れたことがありました。アクシデントが分かったのは試合当日のタイミングで、しかもその選手は『あのスパイクじゃないとどうしてもプレーできない』と言うんです。そこで急遽先輩スタッフがクラブハウスまで取りに行き、選手に届けました。そのスパイクを履いて臨んだ試合ではしっかりと良いパフォーマンスを発揮して、勝利を掴んでくれましたね。また、監督と意見が食い違い、試合に出られなくなった選手の話を聞くために、夜通しカラオケに付き合ったこともあります。どちらも元日本代表クラスの選手です(笑)」
岩元さんが最もやりがいを感じる瞬間は、こうして選手が最高のパフォーマンスを発揮したり、関わったチームが好成績を収めたりした時だそう。さらに、五輪などの大きな国際スポーツ大会の運営をやり遂げた時や、多くのメディアを通じて選手の存在が知れ渡った時も、スポーツマネジメントの仕事に喜びを感じると語ります。
もちろん、大変なことは他にもたくさん。例えば、マネジメントする選手たちの国籍や人種が変わると、求められる対応も必然的に異なります。
「例えば同じサッカーチームでも、日本とヨーロッパのチームでは食事のリクエストが違い、中東のチームであれば宗教上の理由で食べられない食材などがあります。また、宗教上、彼らの生活で絶対に欠かせないものを用意しておく必要もあります。こうしたさまざまな要望に対して、“起こり得る物事を予測、想像して準備する力”と、その都度“臨機応変かつ瞬時に対応できる能力”は、スポーツマネジメントに携わる人にとりわけ求められますね」