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プロ野球選手を“食”でサポート 元ホテルシェフの選手寮料理長に聞く秘訣

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著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

横浜DeNAベイスターズ「青星寮」料理長の加々美忠彦氏【写真:冨田味我】
横浜DeNAベイスターズ「青星寮」料理長の加々美忠彦氏【写真:冨田味我】

 2019年7月、プロ野球の横浜DeNAベイスターズが開設したファーム施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」。ファーム本拠地球場・横須賀スタジアムがある追浜公園内に、屋内・屋外練習場と若手選手寮「青星寮」が設けられています。その寮で選手たちの胃袋を預かるのは元一流ホテルシェフの料理長、加々美忠彦さんです。体が資本の選手たちに提供している食事とは? 「Hint-Pot」でのレシピ連載スタートを前に話を伺いました。

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野球を愛する料理長「選手のためになればと思って作っている」

 ファーム施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」内の若手選手寮「青星寮」。若手選手が横須賀で育ち、横浜へ巣立つために、最高の練習環境と住環境が整えられている。まるでホテルのような洒落た作りの寮には、気が向いた時にいつでも練習できるウエイトルームや、くつろぎながらコミュニケーションを図れる共用スペースを完備。1階には広々とした食堂もあり、選手に栄養バランスのとれたおいしい食事を提供している。

 2面ガラス張りという開放的な雰囲気を持つこの食堂で選手の胃袋をサポートするのが、料理長を務める加々美忠彦氏だ。2018年から青星寮で腕を振るう加々美氏は以前、横浜にあるホテルやレストランなどでシェフとして活躍。思い切った転身を図ったのは、ベイスターズと野球への愛からだった。

「地元は山梨ですが、20年ほど前に横浜へやってきました。1998年にベイスターズが優勝した時、ちょうど私が当時働いていたホテルで祝勝会を開いていただき、それがきっかけでベイスターズの応援を始めました。

 実は私も小学校から高校までは野球をしていて、社会人になった後も、趣味の野球を続けていたんです。横浜のホテル関係者が集まる『ホテルリーグ』という野球リーグにも参加して、子どもの頃と同じファーストを守っていました。そんなこともあって、ホテルや結婚式場で働きながらも、野球選手の食事にも興味を持ち始め、機会があればやってみたいと思っていたんです」

 1998年の祝勝会では、オードブルやローストビーフ、大きなケーキを作ったという加々美料理長。だが、まさかその20年後にベイスターズの一員になるとは「まったく考えていませんでした」と驚きを隠さない。不思議な縁がつながってたどり着いた青星寮の調理場で「選手のためになればと思って食事を作っていると、毎日がすごく楽しいですね」と笑顔を浮かべる。