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暑い夏に食べたいオクラ ネバネバだけじゃない豊富な栄養 合わせたい食材とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

栄養たっぷりのオクラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
栄養たっぷりのオクラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 物価上昇が家計にじわりと影響を与えていますが、夏が旬のオクラは比較的手頃な価格で手に入りやすい野菜といえるでしょう。ハイビスカスなどと同じアオイ科の仲間なので、暑い夏にも大輪の花が咲き、野菜の中では群を抜いて美しいといわれています。オクラというと、独特のネバネバが注目されますが、それだけではありません。暑い季節にこそ食べたい夏野菜である理由が。栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

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伝来当初は食べられず 「オクラ」は日本語じゃない?

 オクラの原産地はアフリカで、紀元前からエジプトで栽培されていたとみられています。古くからある野菜です。日本には江戸時代末期から明治初頭に伝わり、米国から渡来したとして「アメリカネリ」と呼ばれていました。「ネリ」とは、多量の粘質物を含むトロロアオイの根のこと。当時は、独特の青臭さやぬめりが敬遠され、食用というよりも花を鑑賞して楽しんだようです。

 現在の呼び名「オクラ」は、日本語ではなく英語の「okra」から。食用として日本に広まったのは、1960年頃。日本の風土に合った品種改良が重ねられたオクラは、サラダブームもあり食卓に登場するようになりました。

 おひたしにしたり、カツオ節や梅と和えたり、納豆や長芋などとごはんにのせてネバネバ丼にするなど「和」のイメージが強い野菜ですが、ヘルシーな食材として注目されるようになったのは最近のことです。

オクラの注目すべき栄養とは? 一緒に合わせたい食材

卵かけごはんにオクラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
卵かけごはんにオクラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 オクラの特徴的なネバネバの成分は、ペクチンやガラクタンなどの水溶性食物繊維です。整腸作用や血糖値、血中コレステロール値の上昇を抑制し、生活習慣病予防効果が期待されます。

 ガラクタンは、タンパク質の吸収を助けるともいわれているため、タンパク質を多く含む食材と一緒に食べると良いでしょう。タンパク質は、人体の生成には欠かせない栄養素。筋肉、皮膚、髪の毛、ホルモン、免疫物質などあらゆるものの材料となります。タンパク質を多く含む卵やパルメザンチーズ、シラスなどをオクラと組み合わせることにより栄養価が高まります。

 オクラは、約90%が水分ですが、食物繊維やミネラル、ビタミンが多い夏野菜です。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、生のオクラ100グラムあたり、エネルギーは26キロカロリー。皮膚や爪、髪を健康に保つといわれる美容のビタミン、B群の一種ビオチンを6.0マイクログラム含んでいます。

 βカロテンを600マイクログラム以上含むため、緑黄色野菜となります。βカロテンは、体内で必要時にビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強くし免疫力を高めます。脂溶性なので、吸収率を上げるために、生のオクラにオリーブオイルやゴマ油をかけて食べるのも良いでしょう。

 大量の汗でカリウムを失うと倦怠感や筋肉の痙攣などを引き起こしやすくなります。オクラなどの水分やカリウムの多い夏野菜を積極的に食べると良いでしょう。夏バテ気味で食が進まない時は、オクラのツルッとしたのど越しは食べやすく、暑い日こそ食べたい食材です。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾