からだ・美容
中年期はなぜ痩せにくくなるのか “健康的な減量”を医師が解説 目安は月1~2キロ減
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教えてくれた人:辻 晋作
多くの学校がいよいよ夏休みを迎え、海や山でのレジャーに出かける機会が増える時季になりました。薄着で軽快に飛び出したいところですが、運動不足の影響で二の腕や太ももなど気になる部分も……。気になっているけれど、正解がどうも分からないという健康や美容の疑問を辻晋作医師が解説する連載。第10回は、年齢性別問わず関心のある「減量」についてです。年齢を重ねるごとに痩せにくくなるといわれていますが、中年以降でも無理なく体形をキープするコツはあるのでしょうか?
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血糖値を急上昇させない食事を心がけることが第一
日本では体重を減らす、痩せることを「ダイエット」と言いますが、英語での「Diet」には減量または医学的な理由で日常の食事や食生活をコントロールするプランという意味もあります。規則正しい食事で痩せることを意味しているわけです。
太る原因の大半は食べすぎです。患者さんの中には「食べていないのに太ってしまった」という方がいますが、話をよく聞くと食べすぎていることがほとんど。摂取エネルギーが増え、消費エネルギーを上回ることで残ったエネルギーが脂肪となって蓄積され、肥満体形になっていくのです。
「Diet」を本来の意味通りで行うのであれば、食事のコントロールで体重は減っていきます。かつては“リンゴダイエット”など単品だけを摂取するダイエットが流行しましたが、生きていく上で必要な栄養素が不足してしまうので、食事制限としてはNGです。
近年は糖質オフが食事制限の主流となっていますが、糖質をゼロにする必要はありませんし、ゼロにすることは不可能です。ごはんやパンなど主食をとらないようにしても、食事をしていれば糖質ゼロにはなりません。
糖は脳のエネルギー源なので、減らしすぎてしまうとイライラしたりボーッとしたり、日常生活に支障をきたします。ですから、過剰な糖質制限はおすすめできません。
食事で気をつけたいのは、血糖値を急激に上げないこと。急上昇すると脂質を取り込みやすくなり、結果として太りやすくなります。野菜、海藻、キノコ類の食物繊維、大豆製品、お肉などのタンパク質を積極的に取り入れ、よく噛んで食べることが大切です。
白米や小麦は血糖値が上がりやすいので、雑穀米や玄米、全粒粉、大豆粉などに置き換える工夫も必要。白砂糖も血糖値が上昇しやすいので、ラカントやエリスリトールなどの天然甘味料にするといいでしょう。
空腹が我慢できない時はチーズがおすすめ
また、過剰な食事制限はドカ食いの元になります。我慢ばかりせず、小腹が空いた時は血糖値が急激に上がらないものを食べるようにしましょう。
私がおすすめしているのはチーズです。糖質がほぼ入っていませんし、タンパク質が手軽に摂れるので間食にぴったり。種類も豊富なので飽きることもないでしょう。また、ビーフジャーキーも糖質が少なく、食べるのに時間がかかりますから減量中にはおすすめです。
残念ながら、痩せるためのサプリメントはありません。ドラッグストアなどで手に入るサプリメントはお腹を膨らませるものや、糖質や脂質の吸収を抑えるものです。
病院では血糖値をコントロールする薬が処方されることもありますが、あくまでもサポート役として使用します。薬の処方には検査が必要なので、なかなか痩せられないと悩んでいる方は、病院で相談をしてみましょう。