からだ・美容
中年期はなぜ痩せにくくなるのか “健康的な減量”を医師が解説 目安は月1~2キロ減
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:辻 晋作
太りにくくするためには筋肉をつけ基礎代謝を上げること
40歳以降の中年期に痩せにくくなるのは、筋肉量の減少が一因です。普段から特別な運動をしていない人は、年々筋肉量が落ちていますので痩せにくく、さらに太りやすくなっています。
食事をコントロールして60キロから50キロに減量したとします。10キロも減れば見た目は変化しますが、筋肉量は確実に減っていますので太りやすい体になっているのです。
なぜかというと、筋肉量が減ると基礎代謝が下がるから。基礎代謝とは、心臓の拍動や呼吸、体温維持など生命を維持するための消費されるエネルギーです。寝ていても消費されるもので、筋肉がエネルギー源となっています。
筋肉量を増やすには運動が不可欠。筋トレはつらそうと思ってしまいますが、10~15分程度のトレーニングを2~3日に1回で十分です。筋肉量をより増やしたい、引き締まった体になりたいなら毎日行った方がいいのですが、運動習慣がなかった人が急に行うのは難しいもの。まずは2~3日に1回、スクワットなど下半身を鍛えるトレーニングをやってみましょう。
効果的に引き締めたいなら、ジョギングやなわとびなどの全身運動を。有酸素運動なので、1回に30~40分は行ってください。早く走る必要はなく、ゆっくりでもOK。ただし、膝を痛めないようにジョギング用の靴を履くことが大切です。膝や腰を痛めてしまうと動くことが億劫になり、運動不足になりますので気をつけてください。
運動後はプロテインやアミノ酸を摂る習慣をつけましょう。大豆製品やお肉からもタンパク質は摂れますが、効率良く筋肉量を増やすにはプロテインが良いですね。
体重を気にするよりも見た目、サイズで判断
若い頃と体重が変わっていないから……と安心はできません。脂肪と筋肉では重さが異なりますので、ぷよぷよとした体つきになっている可能性もあります。
食事コントロールだけでなく筋トレも行いながらダイエットをすると、元の体重より重くなることがあります。それは、脂肪よりも筋肉の方が重いからです。体重ばかりにとらわれていると、体重は減ったのに二重アゴのまま、おしりが垂れたままなど、美しいボディラインからは遠ざかってしまうかもしれません。「何キロ減らしたい!」ではなく、どういうボディラインになりたいかを目標にした方がいいでしょう。
食事制限だけで急激に体重を減らすのは継続が難しいだけでなく、生活習慣病の元です。健康的に痩せるためには、適量かつ栄養バランスの取れた食事と運動が不可欠。短期間で痩せようとせず、女性の場合は1か月に1~2キロの減量を目安にしてください。「たったそれだけ!?」と思うかもしれませんが、半年も続ければ最大で6キロ痩せますし、太りにくい体にもなっていますよ。
(岩淵 美樹)
辻 晋作(つじ・しんさく)
1974年1月17日生まれ。東京大学医学部卒。帝京大医学部形成外科、埼玉医科大形成外科、東京女子医科大非常勤講師として勤務しながら、28歳で美容医療の「アヴェニュークリニック」開業。42歳で再生医療専門の「アヴェニューセルクリニック」開業。医学博士、日本専門医機構認定形成外科専門医、日本再生医療学会再生医療認定医、「アヴェニューセルクリニック」再生医療統括医師。著書に「あなたを救う培養幹細胞治療」(集英社インターナショナル刊)、「靴の中に入れるだけ2Gかかとインソール」(主婦の友インフォス刊)、「ひざ痛は治る」(秀和システム刊)がある。