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徳島の小学校に5回通った都内在住の親子 二地域居住を可能にした教育事業とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・山内 亮治

テスト期間を経て参加 準備期間は最低2か月

お試し期間で徳島に友達ができたことが息子さんの「デュアルスクール」参加を後押しするきっかけに【写真提供:杉浦那緒子】
お試し期間で徳島に友達ができたことが息子さんの「デュアルスクール」参加を後押しするきっかけに【写真提供:杉浦那緒子】

 杉浦さんが「徳島型デュアルスクール」を知ったのは2016年5月。当時在籍していたオフィス移転支援や働き方に関するプロジェクトを手がける企業で、「デュアルスクール」への参加募集がかかったことがきっかけでした。

 女性の働き方や暮らし方の選択肢を増やしたいという思いでこの会社に入った杉浦さんは、募集を聞いて「何それ、面白そう!」と感じたそうです。入社に至った思いを実現できるのではと前向きでした。

 ところが、当時小学校2年生だった息子の健太(仮名)くんに「デュアルスクール」のことを伝えると、返ってきた答えは「嫌だ!」。滞在先となる徳島県海部郡美波町に「知っている人がいない」ことがその理由でした。

「そりゃそうだよねって思いました。ただ、『知っている人や友達が現地でできたら参加しても良い』と言うんです。そこで、8月にお試しで1週間ほど徳島に滞在しました。現地では無事に友達を作ることができ、『徳島にまた行ってもいいよ』と本人が『デュアルスクール』参加を了承してくれましたね」

 この短期滞在は、その後の「デュアルスクール」参加への足がかりになっただけでなく、“地方で働くこと”についての大事な情報収集の機会にもなりました。

「現地に一度足を運ぶことの重要性を実感しましたね。美波町は海が近いためか、洗濯物の乾きが悪い日もあるんです。だから、コインランドリーの営業時間を先に把握しておくと良かった。あとはスーパーマーケットや飲食店の閉店時間も早く、2週間ほど滞在して仕事をするとなればどうしても中抜けする必要があります。そうした時間には会議などを入れないようにしなくちゃと分かるんです」

 このテスト期間を経て、杉浦さん親子は2か月後に「デュアルスクール」に参加しました。杉浦さんによると、参加申し込みのタイミングは「参加予定時期の2か月前で大丈夫ですが、仕事の調整を考えると準備は3か月前から着手してもいい」とのこと。また受入学校が「デュアルスクール派遣講師」を手配する必要があるため、直前の申し込みでは難しいようです。

 では実際に参加を決めた場合、仕事の調整以外でどのような準備が必要なのでしょうか? 杉浦さんによると、「区域外就学願」の届け出や荷造りと発送、移動と宿泊施設の手配に加え、以下の準備が欠かせないそうです。

○居住地の学校から年間行事表を取得(参加したい学校行事について親子で相談するため)
○居住地の学校に「デュアルスクール」参加で不在になることを通知
○「学習内容書類」の受け取りと提出(居住地と徳島の学校に学習進捗を伝えるため)
○徳島の学校と学校教材や初日の登校について連絡、給食費の相談
○居住地で習い事をしていれば休みの連絡

 上記のうち、「学習内容書類」については注意が必要です。保護者が対応するもののように思えますが、そうではありません。子どもが学校で受け取り、登校の際に提出する必要があります。