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タワマンの匿名掲示板で誹謗中傷 犯人は隣人? 正しい対処法は
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
悪質な場合は管理組合に相談を!
その言葉を聞いて、晴菜さんはドキッとしてしまいます。それというのも、最近になって隣人から、「雨に濡れたままの傘を廊下に放置するな」「夜10時を過ぎたらテレビの音を下げてほしい」など、細かく注意をされるようになっていたからです。
注意されたことは反省し、同じことを繰り返さないよう心がけていました。しかし、廊下を歩くだけで「うるさい」とドア越しに苦情を言われたり、エレベーターで出会った時に挨拶をしてもジロッとにらまれてしまったり。そこで晴菜さんは、掲示板での攻撃も「まさか隣の人が……?」と、すっかり疑心暗鬼になってしまいました。
「義両親が買ってくれた大切なマンションなので、退去するつもりはありませんが、あの掲示板を見ようとは思わなくなりました。隣の人との接触もできるだけ減らすよう、外出する際は隣の部屋に面するリビングの壁に耳を当て、隣人の動向を確認してから出るようにしています。
テレビも、できるだけ音を小さくし、夫がボリュームを上げようとしたらリモコンを取り上げて制するようにしています。夫は『神経質すぎる』と笑いますが……状況がつらくてそんな言葉すら耳に入ってこないのが現状です。今はコロナ禍もあるので友達を呼ぶこともやめ、ただ静かに暮らしています。私……うつなんですかね……」
ひどい場合は管理組合に マンション全体の問題としてとらえる
姉帯さんによると、こうしたトラブルは現代社会において後を絶たないのだそう。
「マンションだけではなく、学校の中やご近所さんの間などで、SNSやネット掲示板が発端のトラブルは増えています。僕は『嫌なら見ない』に越したことはないと思いますが、住人用の掲示板にはマンション内のイベントについて細かい情報が載ることもあり、すべてを無視できないのが現状のようです。
また、匿名でも住人だけが見られるネット掲示板ならまだいいのですが、デベロッパーがマンションを建てる際に購入希望者との意見交換の場として掲示板を設け、その掲示板が消去されずに残っているケースも。そこにまったく関係のない第三者が住人を騙って悪辣な中傷を書きこむということもあるようです。
あまりにひどい場合は、管理組合に訴えて、臨時総会の議題に上げてもらうことも考えましょう。1人で抱え込まず、マンション全体の問題としてとらえていくことをおすすめします」
ネット上の誹謗中傷は今や大きな社会問題の一つです。フェイクニュースと併せて積極的な防止策や規制を求める声は大きく、近頃は侮辱罪が厳罰化されました。とはいえ、中傷を書き込んでいる側には、対象者を精神的に追い詰めているという自覚がないケースもあります。書き込まれている内容や受けている影響に応じて、適した機関に相談する勇気は身を守るためにも必要でしょう。
(和栗 恵)
姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)
「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。