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どうぶつ

盲導犬候補のパピーと迎えた猛暑 初めての夏休みに子どもたちと決めたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

知らなかった盲導犬の実働時間 家での過ごし方にも変化が

 犬と暮らしてみて初めて知ったことなのですが、彼らは人間が思っている以上によく眠りますよね。放っておいたら一日のほとんどを寝て過ごしている気がします。また、盲導犬は朝から晩まで目が見えない方をサポートする……と、これまで私は恥ずかしながらそう思っていました。しかし、実際にサポートするのは一日のうち1~2時間程度。ハーネスをつけて歩いている時は仕事中ですが、それ以外は休憩時間。カフェなどではユーザーの足元でのんびり寝ていたり、家では遊んだり、甘えたりして家族の一員として過ごしているそうです。

 ジェニーは私と“2人”きりの時、涼しい場所を探してゴロンと横になって好きに寝ています。しかし、夏休みが始まって子どもたちが家にいるようになった途端、睡眠時間が激減。子どもたちがジェニーにまとわりつくので、寝不足になるのではと不安になりました。

長男の湊人くんと家の中で遊ぶジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】
長男の湊人くんと家の中で遊ぶジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】

 ジェニーは子どもたちからの誘いを嫌がりませんが、こちらをチラチラうかがって「ママ、ちょっと助けて~」というような表情をしている気が……。そういう時は「ジェニーを休ませてあげようね」と言って、ケージに入れるようにしていました。

 しかし、せっかくリビングでのんびり過ごそうとしているジェニーをケージに入れるのもかわいそうですし、子どもたちの誘いを嫌がるようにもなってほしくないという思いもあり、「ジェニーが家の中で落ち着いて、安心して過ごせることを大切にしよう」と子どもたちとも共有しました。その上で、ジェニーが誰とでも楽しく遊べる子になるために、これからは家族みんなでジェニーの様子に合わせて接してあげようと思います。ジェニーの生活リズムを子どもたちがすぐには理解できないかもしれませんが、ジェニー、一緒に頑張ろうね!

パパとも仲良しに 少しずつ近づく別れにはつい涙も

 ジェニーが来て6か月が経ち、私たち家族も犬との暮らしに慣れてきました。

 パパは相変わらずですが、彼なりにかわいがっていることが分かります。仕事から帰ってきた時、真っ先に玄関までお迎えに行くのがジェニー。先日の朝は、寝室の前に座ってパパが起きるのを待っていたようです。パパが何やらうれしそうな顔をして、ジェニーと2階から降りてくる姿を見かけました。

 家族の中でも特にジェニーと親密なのは次女。散歩の時など、私よりも次女についていくほどで、家族で一番ジェニーに好かれている気がします。息子に対するジェニーの接し方も最近は少し落ち着いてきて、息子のことを無視せず「シット(お座り)」や「ダウン(伏せ)」、「ウエイト(待て)」といった指示を聞くようになってきました。

 こうしてジェニーも大人になっていくんだなぁと、うれしい気持ちもあるのですが、少しずつ近づくジェニーとの別れにはつい涙がこぼれることもあります。

 ジェニーのいない暮らしなんて、今はまったく想像できません。でもジェニーにとっては、立派な盲導犬になることが大切。これからそう長くはない時間ですが、ジェニーとの暮らしに悔いを残すことのないよう、愛情をしっかり与えてたっぷり遊び、ジェニーが「あの家のパピーになって良かった」と思ってくれるように励みたいと思っています。

(和栗 恵)