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斎藤佑樹「見返りを求めない人生でありたい」 “邪心のない”合気道に関心

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

合気道には邪心がない…人生もそうありたいと願う

斎藤佑樹さん【写真:荒川祐史】
斎藤佑樹さん【写真:荒川祐史】

 本にある「合気道の心得」もとても興味深いです。例えば日々の練習について「常に愉快に実施するを要す」「先ず体の変化より始め逐次強度を高め身体に無理を生ぜしめざるを要す」と書かれています。

 要するに体に負荷をかけすぎてはいけないし、楽しくやらなければいけない。合気道の稽古には、皆さんそれぞれ異なる理由で来ているわけですが、それがどんな理由でも受け入れてくれるし、そこで稽古している以上は皆仲間といった空気を感じました。

 植芝さんは本に「『何かいいことがある』という気持ちが先立つよりも、淡々と稽古を積み重ね『ふりかえってみた時にいい方向になってきた』」というくらいの方が良いのだと書かれています。

 合気道には邪心がない。見返りを求めていないというか。これを読んで、人生もそうありたいなと僕は思いました。見返りを求めてやったことには傷が付いて戻ってくることもある。何か違うなと思っていたので、それを答え合わせできる一冊でした。

◇「合気道――稽古とこころ」(植芝守央著、内外出版社刊)
合気道の開祖・植芝盛平氏の孫で現道主の植芝守央氏が合気道の哲学を解説した一冊。その歴史や稽古の詳細、真髄などを現代人に手ほどきする。

◇斎藤佑樹(さいとう・ゆうき)
1988年6月6日生まれ、群馬県出身。第88回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)で投手として活躍し、早稲田実業高校を優勝に導く。ポケットに入れたハンカチで汗を拭う姿が多くの人の印象に残り、「ハンカチ王子」の愛称で親しまれた。早稲田大学への進学後も好成績を残し、2010年にはドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団。2021年10月に引退を発表し、12月1日付で「野球の未来づくり」に関する活動を行うとして「株式会社斎藤佑樹」を設立。現在は同社の代表取締役として活動している。

(関口 裕子)