仕事・人生
終戦記念日に考える戦争と平和 「猫のダヤン」の池田あきこさん ウクライナへの思い
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1970年代にソ連へ短期留学 素敵な思い出の数々
池田さんはこれまで世界中を旅し、何冊ものスケッチ紀行を上梓しています。実は1970年代にソビエト連邦統治下のモスクワへ短期留学に行った経験も。
「ロシア語の響きの美しさに惹かれて、夏の間だけ1か月滞在しました。同じクラスの人たちは、今のキーウ(ウクライナの首都)に遠足へ行ったりしましたが、私はちょっと行けず。でもモスクワの大学で授業を受けて、すごく楽しかったっけ……」
当時のソ連は深刻な物不足。友人の1人は靴ずれをしてしまい、新しい靴を買いに出て半日以上並んだそう。また、街の人は皆親切でしたが、ストッキングなどさまざまなものをねだられ困ったことも。大変なこともたくさんありましたが、それでも思い出の中のロシアでの日々はキラキラと輝いています。
「私にとっては初めての外国だったし、いろいろなところへ行きました。街路樹がきれいでね、小さなヒメリンゴを取って食べたりだとか、動物園に行ったりとか。ワニのイワンが生まれたオキスタルヌ動物園もここがモデルになっています」
いつかもう一度ロシアへ行ってみたい
その後、ロシアに行く機会には恵まれませんでしたが、4年前にバルト三国の夏至祭りを観光した際には、再びロシア語に触れる機会があったそうです。
「バルト三国も旧ソ連の一部だったので、ご年配の方はロシア語をしゃべれるの。だから行く前にラジオ講座で勉強し直して、現地の人と交流しました。しゃべれてうれしかった。あの頃はまさかこうなるとは思っていなかったから、いつかまたロシアに行きたいなって思っていたんですよ」
2013年にはお孫さんにも恵まれ、ますます子どもたちが平和の中で育つことを願うようになりました。
「ロシアの思い出は尊いですが、今回のことには腹が立っています。ウクライナの子どもたちのことがすごく気になる。そして、日本が戦場になるようなことは今後も絶対にないようにと思います」
今後も戦況を見て、支援を続けていきたいと語る池田さん。一日も早くウクライナに平和が訪れ、復興支援のための寄付ができる日を心待ちにしています。
絵本作家。1950年、東京都吉祥寺生まれ。1983年、自由が丘でメーカーのシンボルとして「猫のダヤン」を描く。1987年より不思議な国わちふぃーるどを舞台に絵本を描き始め、画集、長編物語、また旅のスケッチ紀行など多方面で作品を発表していく。出版書籍は100タイトルを超える。「猫のダヤン35周年 ダヤンとふしぎな劇場 池田あきこ原画展」が全国巡回中。また、原画作品は河口湖・木ノ花美術館にて常設展示されている。
(Hint-Pot編集部)