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すだちとかぼす 皮を下にして絞ると良い理由は? 風邪予防や疲労回復に効果も
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教えてくれた人:和漢 歩実
果肉を使わず、果皮特有の香りと果汁の酸味を風味付けや薬味として使われる「香酸柑橘類(こうさんかんきつるい)」の「すだち」と「かぼす」。通年出回りますが、露地栽培のものは8月から最盛期を迎えます。ともに鮮やかな緑色の皮が特徴的ですが、両者に違いはあるのでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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見た目は同じく緑色の皮 どちらが大きい?
暑くなるとおいしいすだちとかぼす。それぞれの特徴をみていきましょう。
すだちは、徳島県が生産地として有名です。昔は果汁を酢のように利用していたことから、「酢橘(すだちばな)」と呼ばれ、それが「すだち」となったようです。出回っているものは、緑色の未熟果。成熟すると皮がオレンジ色になり、特有の香りや酸味は和らぎます。若い緑色のものの方が、香りが良いといわれています。
さっぱりとした酸味と香りは他の食材を引き立てるので、マツタケをはじめ、サンマなど焼き魚や刺身、湯豆腐などにも添えられます。また汁物の吸い口としても用いられます。大きさはゴルフボールくらいでかぼすと比べると小さめ。種も少なめです。
一方、テニスボールほどの大きさなのが、かぼす。大分県の特産品として知られています。伝承によると、江戸時代に医師が京都から持ち帰った苗(種)を栽植したのが始まり。薬用として重宝されたようです。江戸時代には、蚊をいぶす(追い払う)ためにかぼすの皮を刻んで用いたとされていて、「蚊いぶし」から「かぶし」となり「かぼす」と呼ばれるようになったそうです。
果汁が多く、まろやかな酸味はフグ料理や鍋料理に使われることが多いですが、すだちと同様に焼き魚や刺身など、お好みの料理に添えて使っても良いでしょう。ユズの近縁種で成熟すると皮は黄色くなりますが、すだちと同様に緑色のうちに収穫され使われることが一般的です。