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卵から考える「アニマルウェルフェア」 米在住日本人が現地スーパーで身近に感じた食材の選択

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

恩恵をいただくことに感謝

小田島家での飼育風景【写真:小田島勢子】
小田島家での飼育風景【写真:小田島勢子】

 このように豊富に卵の種類があるロサンゼルス。消費者は、どういう目的でたくさんの種類の中から卵を選んでいるのでしょうか。健康のため? 安全性からでしょうか? もちろん、お財布事情によって選択する人もいるでしょう。

「アニマルウェルフェア」。一度はこの言葉を耳にしたことがあるのではないかと思います。私たちの生活に関わるすべての動物(ペットや家畜すべて)のストレスをできるだけ少なく、動物たちが本能として持っている行動欲求が満たされ、環境的に健やかである暮らし方、飼育のあり方を考えた動物福祉のことを言います。

 考え方や活動は動物愛護とは違いますが、ロサンゼルスではその活動をサポートするため、そして動物を良い環境で育てている農家さんを応援する意識で卵や食材を選ぶ方もいます。

 私の個人的な思いですが、元々自然界で暮らす動物や植物たちを人間の世界に連れてきて、都合の良いように栽培や飼育をしてきたことの責任は私たち人間にあるように感じています。動物も植物も、物(食材)としてではなく、生き物として持つ欲求や行動が可能な環境で育つことを守ること、直接できなければその活動や団体をサポートすることで、今自分が生きていることの感謝をしたい、と思っています。

 彼らが生み出す恩恵をいただき、命をつなぐ私たち人間。たかが卵、されど卵。卵に限らずすべての動植物の生き方やあり方の背景を少し知ってみる、そして知った上で自分で選択したり、今までの視野をほんの少しだけ広げてみたりする。そうすることで今まで点と点だった情報や思いが線でつながり、見えてくるものがあるのではないかと感じています。自分の選択の中におのずと愛や地球の循環を見出すことができるのではないでしょうか。

 次回は、自分で選んだその卵をどう使うか、一部レシピも含め殻まですべて暮らしに取り入れるお話をしたいと思います。

(小田島 勢子)

小田島 勢子(おだしま・せいこ)

ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/