漫画
ベビーカーをたたむべきか論争 30年前の思い出描く漫画に反響 作者が込めた思いとは
公開日: / 更新日:
「どんな時でも大目に見てほしい、という意味ではない」
Q. 今回の漫画描いた理由を教えてください。
「ただ単に思い出話として描いたもので、あの時の駅員さんに一言とお礼が言いたいという気持ちでした。こうして融通をきかせていただいたことがあるから、同じようにベビーカーを押している場合はどんな時でも大目に見てほしい、という意味ではありません。
現在、バスや電車などでベビーカーは無理にたたまないで良いとされています。しかしベビーカーユーザー側にも、持ち込む時は混雑しそうな時間帯を避ける、混んだ電車にやむを得ず乗らなければいけない時には状況を見てたたむ、といった配慮が必要な場合もあると思います。そして、たたまなければいけない状況になった時、この駅員さんのように少し手を差し伸べてくれる人のいる世界ならいいなと思いました。
また、手を差し伸べられた時に、それを当たり前と思わずにいる心も持ちたいですね。ユーザー側もそこに乗り合わせた人も、お互いに思いやることができたらと思います」
Q. 漫画の導入になっている、ベビーカーへの罵声事件をお知りになった時の気持ちを教えてください。
「実はこれを描いた時は詳しくは知らず、どんなに邪魔だったか分からないけれど何も蹴らなくても……と思いました。後でニュースを見てから、いろいろな人がいるので主観の相違という話なのかとも考えました。どちらにせよ、蹴るという行為はしない方が良いと思いますね」
Q. 30年前に育児をされていた頃と比べて、今の方が良くなったなと思う部分は?
「昔に比べて、エレベーターやエスカレーターが増えたことは良かったと思います。たとえベビーカーをたたんでも、エスカレーターと階段では大変さが違いますので。
また、紙おむつが薄くてコンパクトになったことと、液体ミルクが販売されたことですね。それでもまだまだ親たちの荷物は大きいと思いますが……。男性用抱っこ紐の登場や育児休業取得を推進する流れなど、お父さんが育児に参加しやすくなったかな、という状況もありますね。でも、これは客観的に見てのことなので、実際はどうなのかが知りたいです」
Q. もし、ベビーカーをたたむように迫られている人を見かけたら、どのように対応されたいと思いますか?
「まずは、本当にたたむべきかを判断したいです。前述した通り、混んでいたり、本当に邪魔になっていたりすることもありえますので。その上でたたむ必要があれば、荷物を持つなどできる範囲でお手伝いしたいです。一方でたたまなくて良い状況なら、なぜたたむ必要性を感じるのか、迫っている方には少し考えてみていただきたいですね」
Q. 読者の感想を読んで改めて考えたことは?
「私個人は、公共交通機関には誰もがお互いに配慮や思いやりを持って乗るべきだと考えています。私自身も実際に、マナーが悪いベビーカーユーザーは迷惑だと思うのですが、この漫画ではそうした思いを伝え切れなかった部分もあるので、そこは申し訳なく思います。
また、駅員さんがまったく手伝ってくれなかったという体験も拝見しました。漫画の時はお手伝いしてもらえましたが、時間帯によっては駅員さんの手が空いていない時もあるでしょう。決してその人が優しくなかったということではないと思います」
(Hint-Pot編集部)