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秋が旬のナス 「栄養がない」は本当? 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
栄養価 秋ナス「嫁に食わすな」の真意とは
「ナスに栄養がない」といわれるのは、キュウリが関係しているといえるでしょう。キュウリは、水分量がおよそ96%で、エネルギーが13キロカロリー(可食部100グラムあたり)。「世界で最も熱量(エネルギー)が少ない果実(Least calorific fruit)」としてギネス世界記録に登録されたことで、「世界で一番栄養の少ない野菜」のイメージが世の中に広まりました。
キュウリと同じように、ナスも水分が約93%と多く、エネルギーも18キロカロリーと低め。このため「栄養がない」といったイメージが持たれているのではないでしょうか。実際には、栄養がまったくないわけではありません。
ナスは、余分な水分や塩分を排出するカリウムを始め、腸内環境を整え便通を促し、血糖値やコレステロール値の上昇を抑えることが期待される食物繊維も含んでいます。また皮にはナスニン、実にはアクの成分でもあるクロロゲン酸があり、いずれも抗酸化作用があり生活習慣病予防に期待できるポリフェノールの一種です。
ちなみに、秋に採れるナスを「嫁に食わすな」という言い伝えが古くからあります。これは、“嫁姑”の関係で、あまりにおいしいので憎い嫁には食べさせたくないという説が。しかし、水分が多いナスを涼しくなってきた秋に嫁に食べさせると、体が冷えてしまうため妊娠を気遣ってとの説もあります。また、秋のナスは種が少ないことから、子宝と関連付けているといった言い伝えも。
古くから日本の食卓で親しまれてきたナス。旬の時期は比較的、手頃な価格で手に入りやすいので、おいしくいただきたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾