食
ソラマメをさやごと茹でるべき理由とは 枝豆と栄養素を比較 購入後は当日中に調理を
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
ソラマメはマメ科ソラマメ属の植物。春にはスイートピーに似た可憐な花を咲かせ、その後にさやが天に向かって伸び、実がふっくらと育ちます。収穫は5~6月にかけて。「五月豆」とも言われ、季節を感じる代表的な豆です。その栄養や豆知識について、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
◇ ◇ ◇
鮮度が落ちやすいソラマメ 手に入ったらその日のうちに食べるのがベター
諸説ありますが、ソラマメの原産地は北アフリカや南西アジアとみられています。日本には奈良時代に中国からインド僧によって持ち込まれたといわれ、本格的に栽培が始まったのは明治時代の頃です。
漢字で「空豆」と書くのは、さやが上に向かって伸びるので「空を向く豆」から。また「蚕豆」は、蚕が作る繭のような形をしていることからのようです。
鮮度が落ちやすいので、完熟したソラマメは乾燥させてから使われることが多く、煮豆やおたふく豆、フライビーンズなどの材料になります。中華料理によく使われる調味料の豆板醤もソラマメが原料です。
野菜として店頭に並ぶ未成熟なソラマメは春先から初夏にかけて。さやに入った新鮮なものを選び、できるだけその日のうちにいただきましょう。さやの筋が黒く全体的に茶色っぽいものはホクホクしており、緑色のものはしっとりしているといわれています。
さやのままグリルやフライパンで焼いても美味 茹でるならさやごと
調理の際は、豆をさやから取り出して茹でる手順が一般的ですが、さやのまま茹でることをおすすめします。栄養成分などの流出と旨味、風味が損なわれるのを防ぐことができるからです。
塩茹でにするのが定番ですが、さやに少し切り込みを入れて、さやのままグリルやフライパンで焼くのもおすすめです。丸ごと焼くことで蒸されるため、甘みが増してホクホクに仕上がります。焼けたらさやから豆を出して、塩をつけて食べるとおいしいです。
電子レンジで加熱すると、茹でるよりも簡単で栄養素の損失も防げます。さやの両脇を切り落とし、中央部分2か所にキッチンバサミで切り込みを入れた後、食品用ラップをふわっとかけて600Wで約2分加熱するだけです。
栄養価 枝豆との違いは? カロリーは?
ソラマメは炭水化物とタンパク質、ビタミンB群、カリウム、鉄などのミネラルを多く含むという特徴があります。熟す前の大豆を緑色の状態の時に収穫する枝豆と違いはあるのでしょうか? 日本食品標準成分表2020年版(八訂)より、可食部100グラム(茹で)を比べてみましょう。
○エネルギー量
ソラマメ:103キロカロリー
枝豆:118キロカロリー
○タンパク質
ソラマメ:10.5グラム
枝豆:11.5グラム
○炭水化物
ソラマメ:16.9グラム
枝豆:8.9グラム
○食物繊維
ソラマメ:4.0グラム
枝豆:4.6グラム
炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものであるため、ソラマメは糖質が多く含まれていることが分かります。気になるという人も多いでしょうが、糖質は体や脳が働く時のエネルギー源になるものです。
○ビタミンB1
ソラマメ:0.22ミリグラム
枝豆:0.24ミリグラム
○ビタミンB2
ソラマメ:0.18ミリグラム
枝豆:0.13ミリグラム
○ビタミンB6
ソラマメ:0.13ミリグラム
枝豆:0.08ミリグラム
またビタミンB群を比較すると、ソラマメにも枝豆にも、三大栄養素である糖質や脂質、タンパク質の代謝を助ける補酵素が含まれているといえます。