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無縁なようで実は仲間? 「綿」と「オクラ」の育ち方から学ぶ“衣育”とは?

公開日:  /  更新日:

著者:こばやし なつみ

摘み取った和綿の葉、オクラ、綿100%のタオル【写真:こばやしなつみ】
摘み取った和綿の葉、オクラ、綿100%のタオル【写真:こばやしなつみ】

 身近な繊維の一つである綿は、9~11月の秋が収穫時期。茨城県で会社員の夫と義両親とともに、少量多品種での米と野菜作りを行う兼業農家のこばやしなつみさんは今年、綿花栽培に初挑戦しました。子どもたちと一緒に畑の野菜や綿のお世話をする中で気がついた「衣育」の重要性について綴ります。

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「フワフワな綿が畑から採れるの?」 息子の一言から始まった“綿花栽培”

 9月に入り、残暑は残るものの、朝晩吹く風に秋の気配を感じます。我が家の畑では、ハート形をしたサツマイモの葉やつるが旺盛になっていて、10月のイモ掘りを子どもたちが楽しみにしています。また今年から栽培を始めた綿花もすくすくと成長中です。日本の気候では、春に綿花の種をまき、夏に花が咲いて、秋に綿の実が弾けてフワフワの“綿”が収穫できます。

 そもそも綿花を育てようと思ったきっかけは、5歳の息子との会話からです。衣類の生地の原料について説明をすると、「綿」に対して最も疑問を示していました。

 簡単に説明した素材は、植物繊維、動物繊維、化学繊維の3種類。動物繊維と化学繊維については、冬に着る暖を取るための上着を例に挙げました。鳥の羽根や羊の毛を使うことは“あったかそう”とイメージしやすかったようです。また、あらゆる形で生活の中にあふれているプラスチック素材からも生地ができると話すと、「なるほど」と納得しました。

 しかし、毎日着ている肌着やTシャツ、タオルなどの主原料である綿が、サツマイモなどの野菜と同じ畑から採れると言うと、「フワフワな綿が畑から採れるの? 不思議」という反応。

 正確に言うと、綿にも2種類あり、綿花の実から採れる「木綿」は植物繊維で、蚕という虫が吐いた糸で作った繭からなる「真綿」は動物繊維なの……といった話になると、もはやそれぞれの違いは実物に触れてみないと分かりません。だったら、作ってみようと思ったわけです。