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ペットボトルのキャップに風景画 直径28ミリのアートに約5万人感嘆「標本にしたい」
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ツイッターでトレンド入りした「#多分私しかやってない」というハッシュタグには、驚きの投稿が満載。目を見張る素晴らしい技術を披露する人が大勢います。中でも注目を集めたのは、ボトルキャップアーティストの西倉ミト(@n_mito0813)さん。何と私たちにも身近なペットボトルのキャップをキャンバス代わりに、美しい風景画を描いています。元のキャップと並べられた写真は大きな反響を呼び、5万件近い“いいね”が集まりました。西倉さんに詳しいお話を伺いました。
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資料もなしに1時間15分で制作
色鮮やかな緑の木々に映える赤い橋。奥には雄大な滝が流れ、豊かな水をたたえる山川の美しさに目を奪われます。描かれているのは何と、直径28ミリほどの小さなペットボトルのキャップです。
作者の西倉さんによると、この作品は人前で描くライブペイント時に制作したもの。資料写真などを使わず、たった1時間15分ほどで仕上げたといいます。
西倉さんが「#多分私しかやってない」のハッシュタグをつけて、ボトルキャップのビフォーアフターを比較した写真をツイッターに投稿すると、瞬く間に4.9万件もの“いいね”が。リプライ(返信)には、「もう感動しかない」「無駄も減るし、心ほんわか」「こんなキャップだったら、集めて標本みたいにしたい」など、感動したという声がたくさん寄せられています。
さまざまな職を経て念願のフリーランス画家に
3年前から画家として活動している西倉さん。その道のりは、決して平坦なものではありませんでした。元々はタオルデザイナーとして企業に勤めていた西倉さんはある時、某大手アニメ制作会社の求人情報を目にしたそう。そこで、アニメの背景美術制作に携わりたいと、応募するために退職を決意したのです。
「以前から絵の具を使って風景を描くことが好きで、いつかその技術を活かした仕事がしてみたいという強い思いがありました。そんな時に背景美術スタッフの求人が目に留まり、どうしても諦められなかったんです」
ところが、結果は不合格。西倉さんは絵を仕事にすることに対して、一時的に自信を失ってしまいました。そこで、人の役に立っていることが実感できる仕事に就きたいと、縁あって大学病院の採血室で看護助手の仕事をすることになったそうです。
「病院で働くなかで患者さんから対応を褒めていただくことが多く、人と関わる仕事が自分に向いているのではないかと思うようになりました。そして、病院で働き始めて1年近く経った頃から、たくさんの人たちと関わりながら絵を描くこともできる、“フリーランスの絵描き”に対して憧れを抱くようになりました」
それから間もなくして、SNSで知り合った画家の宇佐美コーゾーさんから「展覧会に作品を出してみませんか」との誘いが届いたそう。大阪の「galleryそら」で開かれた展示会で、西倉さんは初めて画家「mito」として絵を展示させてもらえることになったのです。
「この時、私の作品が来場者アンケートの〈お気に入り部門〉〈技術力部門〉で、それぞれ1位に選ばれたんです。このことが自信となり、作家活動を始めることを決意いたしました」