Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

タワマン20階を襲う“地上の騒音”…転居を決断した女性の告白 事前にできる対策とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

騒音とは無縁と思いきや、意外な落とし穴も?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
騒音とは無縁と思いきや、意外な落とし穴も?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 空に向かって勢いよく伸びる大樹のような、威風堂々たるタワーマンション。地上から離れた高層階はさぞ静かだろうと思いきや、実は意外にも外部からの騒音が問題になっているそうです。海外から帰国し、タワマンの高層階で母親と暮らし始めたタワマンマダムも、予期していなかった騒音問題に悩まされている1人。回避する方法はあったのでしょうか? 東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む不動産のプロ、姉帯裕樹さんのアドバイスと併せてお伝えします。

 ◇ ◇ ◇

モデルルームだけで判断したため、大失敗!?

「勝手な想像ながら、地上60メートル以上の高さになるタワーマンションは、鳥のさえずりすら聞こえない、騒音とは縁のない建物だと思っていました」

 お悩みを打ち明けてくれたのは、首都圏某所に暮らすタワマンマダムの酒井彩名さん(仮名・59歳)。長く海外暮らしをしていましたが、日本で一人暮らしをする母親の健康状態が悪化したことから早期退職し、配偶者を現地に残して帰国しました。

 そこで住み慣れた町にタワマンが新築されることを知り、「どうせならちょっと良い住まいを……」と、タワマンの20階台を購入。購入前はモデルルームで内装を確認しました。「バリアフリーの部屋は母親の介護にぴったり! 素晴らしい景色はストレス発散にもなるはず!」と、うきうきしながらタワマン暮らしをスタートさせました。

窓を開けた途端に聞こえてきた騒音 母親は「元の家に帰りたい」

 母親と一緒に、タワマンライフを満喫していた彩名さん。しかし、季節が変わり、あることで悩むように。

「マンションのすぐ近くに学校があるんですよ。私たちが引っ越したのは冬だったため、ほぼ窓を開けなかったのですが、春になって窓を開けた途端、校庭からの音が響いてくるようになりました。

 すぐ近くに高速道路が通っているのですが、そちらの音は許容範囲。子どもがわぁわぁと騒ぐ声だけがなぜか異様に響くんです。どうやら部活に熱心な学校らしく、夏休みに入っても早朝から夜まで騒音は止まりません。母はエアコンが苦手なため夏場でも窓を開けており、あまりにうるさくて昼寝もできない状態のせいか、うつっぽくなってきてしまって……」

 母親は寝たきりのため、窓から景色が見えた方が慰めになるかと思い、校庭がある方向の部屋を居室にしていました。しかし、騒音問題のために部屋を交換。騒音は減りましたが、母親は認知症の症状もあってか、毎日のように「元の家に帰りたい」と繰り返すようになってしまい、彩名さん自身がうつになりそうなのだとか。

「やっぱり、モデルルームだけを見て購入を決めちゃダメですね。学校に苦情を言うことも考えたのですが、後から建てられたのはタワマン。さすがに筋違いだと思うので……もう引っ越しをしようと思います」

 現在は不動産会社に売却の意向を告げ、実家があったエリアの低層マンションに住み替えを希望している最中だと、彩名さんは寂しい笑顔を浮かべました。