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仕事・人生

車いす生活から演劇界の異才へ 根本宗子さんが駆け抜けた日々 当面の新たな目標とは

公開日:  /  更新日:

著者:河野 正

「とにかく毎日演劇をやる」 身を結んだ22歳のチャレンジ

 そこで街中のバーを借り、劇団員と毎月新作を上演し続けることに。続けていくうちに客足が伸びて、劇場公演の資金が少しずつ蓄えられるようになりました。

「例えば、ももいろクローバーZは初期から土日を中心にライブしていたので、週末に見られるという状況が『今度見に行ってみようか』という気持ちにさせますよね。AKB48も、秋葉原の専用劇場でほぼ毎日公演しているので行きやすい。私も実際、両方に足を運びました。

 ところが演劇は次の公演が半年後になるので、気になってもその時やっていないから忘れられちゃうんですね。だから、ふと気になった時に活動していることが大切だと感じ、とにかくやり続けることにしました。私が22歳の時です」

 そこで、お試し価格の1500円くらいで1時間弱のお芝居を鑑賞してもらい、楽しめたら3500円の本公演のチケットを購入してもらうという“興行”を打つことに。

「やっぱり毎月続けることってすごく大切なんだと実感しました。通ってくれるお客さまが増え、役者たちもだんだんとアルバイトをしなくても生活できるように。私が25歳の時でした。とにかく大変だった時期が6年間あったので、まあ、全然すぐ成功したわけじゃないですよね(笑)」

 22歳で試行錯誤しながらこの企画をスタートさせ、軌道に乗ったのは25歳の時。まさしく「石の上にも3年」の辛抱が実を結んだ形です。この活動を始めてからは、収入以外にもいくつかの利点が生まれました。毎日上演することで劇団員の技量が上がると同時に、根本さんの筆力もスピードアップしたのです。この背景には、根本さん自身が昨年10月31日まで俳優としても活動していた時の気持ちがあります。

「とにかく書き続けていないとスピードも落ちるんですよね。なのでそこはサボらないようにしています。作家がサボれば俳優にもスタッフにもバレて信頼はなくなってしまうので」

 早く書けるようになったのは、自分なりの工夫と習慣があったから。日記や長文のメールなど、何かしらの文章を毎日欠かさず書くクセをつけることで、脳が活発に動いているからこそ筆が進むのだそうです。