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からだ・美容

乳がんで右胸全摘手術を終えた39歳女性 抗がん剤治療を決意するまで

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

想定外の結果…一層悩むことに

 結果は再発スコア「0~100」で数値化され、一般的に再発スコア「25」以下であれば抗がん剤は不要(効果が薄い)といわれています。ただ、50歳以下の場合、「25」以上は50歳以上と変わりませんが、「16~24」は中間値、「16~20」は中間低値、「21~25」は中間高値と、さらに細分化されます。

島田さんが受けたオンコタイプDX検査の結果【写真:島田みゆ】
島田さんが受けたオンコタイプDX検査の結果【写真:島田みゆ】

 39歳の私はスコアが「21」。中間値の中で「1」だけ高値に寄っている、低いわけでも高いわけでもないど真ん中です。

 全年齢対象であれば不要のスコア、ただ50歳以下なので中間高値……。低リスクのスコアが出て、清々しくホルモン療法に進む予定だったので、思わず「本当に……何ですかね、この数値は……」と落胆の表情たっぷりで声に出してしまいました。

 中間値だと、患者の希望を考慮しつつ主治医と相談という状況になります。私の主治医は「あくまでもご本人の希望を聞いて相談ということになるけれど……」と前置きしつつ、「年齢と数値、これまでの経験上、私はやはり抗がん剤治療をすすめます」という意見でした。

 主治医は、私の病状や年齢、この検査のデータ量、過去の他の患者さんの例など、これまでの経験を踏まえて、抗がん剤治療をすすめる理由を説明。「これを持ってセカンドオピニオンを取るのもありだ」とも言ってくれました。

 すぐには結論を出せなかったため、ひとまず「1週間ください」と考える時間をもらいました。

やるかやらぬか…数時間ごとに結論に迷う日々

 元々やることが決まっていた治療、明らかに必要な治療であれば、当然やります。ただ、それまでの結果ではやらない可能性の方が高そうな兆候だったので、私の中では「このままやらずにいけるのでは」という期待もあったのです。

 やりたいか、やりたくないかと言われたら、当然やりたいものではありません。抗がん剤のリスクや大変さはいろいろな情報を見て知っていましたし、何より両親が抗がん剤治療を受ける姿を間近で見ていました。父と母は病状も状況も、使った薬も違います。副作用の程度も症状もそれぞれでしたが、やはり決して楽なものではありませんでした。

 脱毛は避けられないので100%見た目は変わる、体の機能にどう影響するかも気になる。自然のものが好きで、できるだけ薬に頼らずに過ごせたらいいと思っている方でもあります。だからこそできるなら避けたい。でも、やらないで本当に大丈夫なのか? 自分の中での結論は、数時間ごとにコロコロ変わりました。

どんな治療を選んでも正解しかない

 この1週間、叔母と兄をはじめ、あらゆる友人、知り合いの鍼灸院の医師、薬剤師、ウェブ上で医師に質問できるサイトなども含め、20人以上に意見を聞きました。他の人が私の立場ならどう思うのか単純に知りたかったことと、それを聞いて私はどう思うのかを確かめたかったからです。

 人によって、意見は本当にさまざまでした。

「選べるのであれば、抗がん剤はやらずに自分の免疫や治癒力をアップさせたい」「再発リスクより、正常な機能へのダメージの方が気になる」というやらない派。

「少しでも再発リスクがあるのなら抗がん剤治療をしたい」「主治医がすすめるならそれを信じたい」というやる派。医師ですら、私の数値では「すすめるorすすめない」の見解が分かれていました。どちらの意見も納得できるもので、どちらも正解なのだとも思いました。

 そうして、私は抗がん剤治療をすることに決めました。この1週間は、自分の決断を確固たるものにするために、私にとってはとても必要な時間だったのです。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン