Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

食べすぎた時にも 脂肪を溜め込まない体作りにおすすめな漢方薬の選び方 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

体の代謝を上げて脂肪燃焼を促すサポート役として

脂質代謝に有効な漢方薬も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
脂質代謝に有効な漢方薬も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 では、この漢方薬を使ってダイエットになるのかという問題ですが、飲むだけで痩せるものは残念ながらありません。ただし、生薬の中に、代謝を上げて脂肪を燃やしやすい体にする、便通を良くする、冷えやむくみを改善するといったものがあります。

 ダイエットに直結するというよりは、太りにくい体に整えるといった方がいいでしょう。前述の通り、漢方は体質改善をしていくもの。つまり、脂肪を溜めにくい体にするのです。

 食欲旺盛でつい食べすぎてしまう人には、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」や「大柴胡湯(だいさいことう)」がおすすめです。血のめぐりが悪くむくみやすい、便秘がちという人にも適しています。体に溜め込みやすい人ですね。脂質代謝の改善に有効で、お腹周りの脂肪を落とすことが期待できます。

 食べすぎていないのにぽっちゃりしている、むくみやすいという人には「防巳黄耆湯(ぼういおうぎとう)」がおすすめです。どちらかというと虚弱体質で筋肉量が少なく、水分代謝が悪い肥満を改善します。体の水分バランスを整え、慢性的なむくみを緩和して引き締まった体に導きます。

 冷えや生理痛など女性特有の悩み改善に用いられることが多い「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」も太りにくい体に整えるのに役立ちます。血のめぐりを良くし、代謝を上げて冷えや肩こり、むくみを改善。脂肪燃焼にもつながります。

 漢方薬はいくつもの生薬を組み合わせたものです。一つの漢方薬でさまざまな効能があるので、何種類も漢方薬を飲む必要はありません。まとめて飲んだからといって効果が倍増するというわけではありませんし、複数飲むことで副作用が強く出る可能性があります。そのため、自分の体質に合ったもの、改善したいものを一つ選んで服用しましょう。

 自分の体質が分からない場合や、他の薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談をしてください。

漢方薬だけに頼らず、適度な運動も取り入れて

漢方薬だけに頼らず、適度な運動も大切(写真はイメージ)【写真:写真AC】
漢方薬だけに頼らず、適度な運動も大切(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 消費カロリーよりも摂取カロリーが上回ることで、脂肪が蓄積されていき肥満体形になります。したがって、漢方薬を飲むだけで痩せやすくなるかといえば、答えは「NO」です。薬だけに頼るのではなく、食べすぎないことはもちろん、脂質や糖質を摂りすぎないようにすることも大切です。

 また、筋肉量が少ないと基礎代謝も上がりません。ウォーキングやスクワットなど適度に体を動かすことも忘れないでください。ダイエットに漢方薬を取り入れると同時に、生活習慣も見直しましょう。

 漢方薬は効果がマイルドです。1週間くらいでは効果が実感できないかもしれません。まずは1か月、根気よく続けましょう。漢方薬を飲むタイミングは食前、空腹時。水や白湯で飲んでください。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。