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カルチャー

どの家庭にもつらいことはある…笑いとともに過ごす方法とは 温かい気持ちになる一冊

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

教えてくれた人:OliviA

著者と読者のあり方が現代特有? ネット上にも人間味のあるつながりは存在

 それまで「note」では、友人がSNSでシェアしたり、自分が興味を持ったりした記事を単発で買うことはありましたが、定期購読の会員になったのは奈美さんのマガジンが初めて。生活費に充てているそうなので、何だか親戚に仕送りしている気分で購読を始めました(笑)。大した金額ではありませんが、見守り、応援したい気分になるんですよね。

 たぶん奈美さんは、これをきっかけに作家になる道へと進まれ、書籍の出版にもつながったのだと思います。でも1冊目を出版された後も、家族のあり方は変化し、人生は続く。現代は、その変化をSNSで追いかけることができる。著者の生活に密着している感じもするし、その後もリアルタイムで応援できるのです。

 これこそ、現代特有の著者と読者のあり方なのかもしれません。私がこんな気持ちになることも、こんなに行動することも、この本の持つ力なのだと思います。

 中学生の時に亡くなられたお父さまは、奈美さんに幼い頃から英語やパソコンに触れる機会を作りました。なかなかお友達のできない奈美さんにパソコンを与え、インターネットの向こう側にある可能性を教えたのだと。ネガティブな使われ方をすることもあるSNSですが、励ましたり、励まされたりと、すごく温かいつながりもある。

 奈美さんが、インターネット上にも人間味のあるつながり方はできるよと発信されているのも、たぶんお父さまの影響。建築リノベーション系のお仕事をされており、すごくユーモアがある方だったそうなので、面白さを追及する遺伝子もお父さまからのものかもしれません。お父さまから伝えられた教えが、脈々と私たちにもお裾分けされている感じもします。

読み終わった後も、心の片隅で岸田家のことを気にしている自分

 どのご家庭にもつらいことはあると思いますが、どうすればその状態を笑いとともに過ごすことができるのか、この本にはそれが書かれています。家族のあり方を見直したい方、ご家族に悩みを抱えている方にも共感してもらえると思います。

 ただただ文章が面白いので、ほろっと泣き笑いするような読書体験をしたい方にもおすすめです。テンポがいいので読んでいる時間はあっという間。読み終わった後も、心の片隅で岸田家のことを気にしている自分がいて、温かい気持ちになります。

 そんな風に家族について考えさせる本。出版後も、奈美さんには次々と事件が起きるので目が離せません。本当に気づきが多い本。だからすすめたくなるのです。

◇「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(岸田奈美著/小学館刊)
ツイッターやnoteでも人気の岸田奈美さんによる自伝的エッセイ。車いすの母とダウン症で知的障害のある弟、ベンチャー起業家で急逝した父が織りなす日々を描く。

(関口 裕子)

OliviA(オリビア)

1980年生まれ。ラブライフアドバイザー(R)、アロマセラピスト、日本性科学会 会員。学生時代に「女性の性」をテーマに卒業論文を執筆したことをきっかけに、2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動を開始。台湾でも書籍を出版するなど、日本のみならず海外にも活動の幅を広げ、多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。近著に「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)など。