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タワマンはネット速度が遅い? 原因と入居前に確認するべきこととは プロが解説
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
タワーマンションのデメリットとして挙げられがちなことの1つに、インターネット速度の遅さがあります。この噂は本当なのか、はたまた実際に居住していない人たちの想像なのか? そこで今回ご登場いただいたのは、いくつかのタワマンを渡り歩いている30代の男性。また、タワマンのインターネット回線などについて、不動産のプロである東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんにお話を伺いました。
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ネットの速さでマンションを選ぶ時代が来ている!?
「正直、タワーマンションのネットが遅い、という噂は7割が嘘ですね」
そう語るのは、東京都港区のタワマンを借り換えながら、独身貴族暮らしを楽しんでいるという長谷川栄介さん(仮名・32歳)。「タワマンはネット接続が遅い」と聞いて躊躇はしましたが、実際に住んでみると不便さを感じることは無いそうです。
タワマンなど大規模住宅でインターネットを使用する場合、まず共用部に設備を導入して固定のインターネット回線を開通させます。この回線には光回線(光ファイバーを使用)とケーブルテレビ回線(光ファイバーと同軸ケーブルを併用)、ADSL回線(2023年1月に提供終了)があり、一般的に多いのは光回線です。
「まず、遅いのはマンションが一括で契約しているインターネットプロバイダの事情。ケーブルテレビ回線の場合、かなり遅いんじゃないでしょうか。僕なりに調べたところ、新しく建てられているタワマンは光回線がほとんど。タワマンだからネットが遅いということは、ほぼありえないと思います」
確かに、ケーブルテレビ会社のインターネットサービスは光ファイバーと同軸ケーブルを併用するため、接続の遅さが話題になりがちでした。しかし、最近は同軸ケーブルを光ケーブルに切り替える会社が増え、状況は改善され始めています。また、ネット接続が遅くなる理由はプロバイダだけではありません。
マンションの回線自体が1本のため遅い場合も
栄介さんも、一昨年に住んでいたタワマンでは別の理由で速度の遅さに悩まされました。大規模住宅では共用部から各部屋に配線しますが、この配線にも種類があります。光ファイバーケーブルを使う光配線方式、電話回線を使うVDSL方式、LANケーブルを使うLAN配線方式です。また、マンションの共用部に引かれている回線自体は1本のため、配線された各部屋がそれを共有する形になります。
「ちょっと古い物件だったのですが、景色の良さと立地に惚れ込んで引っ越したんですよ。でも光回線は共用部までで、部屋までの配線が電話回線でした。そこに追い打ちをかけるように、コロナ禍で在宅ワーカーが増えたみたいで、常に回線が激混み。ネットにつないで映画でも見ようかな、なんて思っても途中で止まる止まる(笑)。携帯電話会社の回線につなごうと思ったのですが、タワマンの上層階は電波が入りにくいので断念しました」
そのため新たに光回線を開通させたいと不動産会社に相談。しかし同じことを考えた人が多いらしく、予約でいっぱいだから工事まで2~3か月待ってほしいと言われ、結局は別の物件に引っ越したそうです。