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ブラックコーヒーは通じない オーストラリアが誇るカフェ文化 現地で楽しむ方法とは
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オーストラリアは日本人のワーキングホリデー旅行者や留学生に人気の渡航先。治安の良さや恵まれた気候といった暮らしやすさはもちろん、土地に根付いた食文化も大きな魅力です。その一つが、イタリア移民が持ち込んだことで浸透したとされるエスプレッソコーヒー。現在ではオーストラリア出身のバリスタが世界で高評価を受けるなど、進化を遂げているそうです。現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが、同国で暮らすためのノウハウなどを解説するこの連載。今回は現地のカフェ事情についてお届けします。
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イタリア発祥の本場エスプレッソ文化が浸透している
オーストラリアの街を歩くと、小さなカフェの多さとコーヒーのおいしさにびっくりします。商店街には大抵カフェがいくつか軒を連ねていて、そこにはゆっくりと優雅な時間を過ごす地元の人たちの姿が。コーヒーを飲む飼い主の横で、しつけの行き届いた愛犬がおとなしく座っている光景もよく見かけます。
オーストラリアのカフェで飲まれている飲み物は、ほとんどがエスプレッソコーヒーです。カフェで販売される温かい飲み物のうち、エスプレッソコーヒーが90%(杯数ベース)を占めています(2019年の米決済会社スクエア調べ)。その他10%の内訳は、チャイが4%、ホットチョコレート(ココア)が3%、紅茶が3%でした。
1901年まで英国の植民地だったオーストラリアは元々「紅茶文化圏」ですが、カフェのカフェイン飲料に関する限り、今では英国式の紅茶はほとんど衰退してしまったといって良いでしょう。これに置き換わったのが、イタリア発祥のエスプレッソコーヒーというわけです。
高圧でコーヒーを抽出するエスプレッソがイタリアで考案されたのは、20世紀初頭といわれています。意外と歴史の浅い飲み物です。そのエスプレッソをオーストラリアに持ち込んだのは、第二次世界大戦後に敗戦国のイタリアから押し寄せた移民たちでした。
こうした歴史的な経緯もあり、オーストラリアでは戦後の早い時期から本場のエスプレッソコーヒーが浸透していました。現在では米国式の薄いドリップコーヒーも姿を消し、カフェだけではなくコンビニやオフィス、家庭に至るまで、エスプレッソマシンで淹れるイタリア式コーヒーが広く普及しています。