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相場より安い賃貸タワマンで恐怖体験 「引っ越した方がいい」と同僚が言った理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

部屋の中を誰かが覗いている? 友人が驚きの発言

 梨花さんはすぐに彩奈さんを呼び出し、理由を聞きました。

「あの部屋にいる間、誰かがこちらをずっと覗いている感覚があった。たぶんあの部屋で自死した人がいるんじゃないかな。梨花は強いから影響を受けていないけど、風邪を引いた時とか、心が弱った時に影響を受けてしまうかもしれない。自分がしたことに納得してないから、誰かに責任というか、何かを押し付けようとしている気がした」

 そして「梨花はまだ引っ越して半年だって言ってたし、気に入っている部屋かもしれないけど、引っ越した方がいいと思う」と改めてアドバイスも。もちろん事故物件であることは隠していたので、誰も知らないはずです。

 話を聞いてさすがに恐怖感が勝った梨花さんは、不動産会社に連絡。彩奈さんに付き添ってもらっていくつか部屋をめぐり、安心できる引っ越し先を見つけました。

「私の前に住んだ人は3人くらいるらしいのですが、どうやら全員、半年経たずに出ていったようなんです。彩奈いわく、『弱った時に付け込まれたのでは?』と。住んでいる人が弱るのをじっと待っている霊なんて、めっちゃ怖くないですか?」

賃貸物件の告知義務は3年 売買物件の場合は?

 友人のおかげで事なきを得た梨花さん。なかなかの恐怖体験だったようですが、こうした事故物件はあらかじめ分かるものなのでしょうか。不動産のプロである中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯さんによると、まず「告知義務」について知っておくべきだそう。

「住んでいた人が普通に老衰などで亡くなった場合の告知義務はありません。しかし、自死や他殺、火災などによる死亡があり『心理的瑕疵』とされる場合や、自然死であっても何らかの事情で特殊清掃が入った場合は告知義務があります。

 賃貸物件の告知義務は3年なので、それ以上経っていても教えてくれた不動産会社は、ある意味で親切だといえるでしょう。もっとも、特に大手が仲介する場合、事故物件であることをあらかじめ伝える場合が多いようです。これは、のちに事故物件であることが判明した際の揉め事を回避するためです。売買の際は、3年を経ていても告知義務が存続します」

 そうした情報を自分で調べる方法はあるのでしょうか?

「ネット上には事故物件をまとめたサイトがあり、実は不動産業者も参考にしていることがあります。実際、僕もよく見ますね。部屋を決める前にこうしたサイトを利用して、ある程度は情報収集をしておく方がいいかもしれません」

 生活の拠点となる部屋。大切な場所だからこそ、心配事が少ないに越したことはありません。家賃や立地で安易に決めないよう心がけたいものです。

【参考】
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」策定
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。