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からだ・美容

再発リスクを極限までゼロへ 乳がんで右胸全摘した30代が抗がん剤治療を選んだわけ

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

「何かをやらない後悔」はしたくなかった

 最後に決め手になったのは、この先「やっぱりあの時」と後悔しないかどうかでした。

 当然、やってもやらなくても、再発するかもしれないし、しないかもしれない。これは誰にも分かりません。ただ、今できる限りの治療をやって将来再発したとしたら、その時はもう仕方がない、「やることはやったのだから」と思えるのではないかと。「あの時やっておいたら、違ったのかな」と思わない自信が私にはなく、きっとやらない方が後悔すると思いました。

私の病状を一番分かっている主治医の言葉

 抗がん剤をしない選択は、これまで病状をみてきた目の前の主治医の提案を拒否することでもあります。主治医はあくまでも提案として押し付けず、私の判断を尊重すると言ってくれたので、決してその後が気まずくなる、機嫌を損ねるといったことではありません。ただ、もしやらない判断をするなら、それなりに自分の強い意志と覚悟が必要だと思ったのです。

 1週間後に考えた結果を伝える前、「先生が私の立場だったらやりますか?」と主治医に聞いてみました。すると「私も島田さんと世代は近いのだけど、同じ状況ならやる方を選びますね」との答えでした。自分の中ではもう決めていたことでしたが、最後の最後、より強い決断として固まりました。

 現代の医療は日進月歩。1年違えば、新しい治療法も薬も出てくる時代です。数か月後には、今回の私の検査結果なら「抗がん剤は不要が基本」となるかもしれません。抗がん剤以外の薬が標準治療になっていることだって考えられます。それでも、現時点での最善を尽くしたと思えている今、私は自分の選択を後悔していません。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン