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台風はなぜ9月と10月に猛威を振るうのか 備えるには知識から 気象予報士が徹底解説
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9月から台風が頻発し、一部地域では甚大な被害が発生しています。被害から逃れるためには事前の準備が必要ですが、台風の中心から離れた場所で竜巻が発生するケースも。そんな時、どのように対処すればいいのでしょうか。台風のメカニズムも含め、気象予報士の手塚悠介さんに解説していただきました。
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元日を区切りに1号、2号と数える
――そもそも「台風」とは。
「まず『熱帯低気圧』とは熱帯の海上で発生する低気圧のことです。このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、中心付近の最大風速(10分間平均)が秒速17メートル以上のものを『台風』と呼びます」
――9月は台風が頻発しました。いつまで警戒が必要でしょうか。
「確かに9月は台風が多い時季です。引き続き10月も警戒が必要ですし、過去のデータでは、最も遅い日本上陸の記録は11月30日です」
――例年、台風が気になるのは7~8月からですが、予報で目にするのは10号前後からの印象です。
「台風は年中発生しており、毎年1月1日を区切りに1号、2号と数えられます。ただ、夏の前までは日本付近に来ることがまれですので、天気予報でその動きを伝えることはほとんどありません。発生しても、すぐに消滅してしまうこともあります」
――なぜ、日本に来る前に消えるのでしょうか。
「地球の自転の影響で、台風は北~北西へ向かう性質を持っています。また発達する時のエネルギーは、暖かい海面から取り込んだ水蒸気が凝結し、雲粒になる時に放出される熱です。しかし、移動すると海面や地上との摩擦でエネルギーを失います。海から供給される水蒸気の量が弱まると、台風は弱まって『熱帯低気圧』に勢力が落ちたり、2~3日で消滅したりすることもあります。
また、日本付近に近づくと上空に寒気が流れ込み、本来の性質を失って『温帯低気圧』に変わることもあります。上陸した台風が急速に衰えるのは、エネルギーになる水蒸気の供給が絶たれるためです」
――9~10月は、まだ日本周辺でも海面が温かく、エネルギーが供給されるため上陸もするということですね。
「そういうことです。天気予報で海水温の話をするのは、海水温が高いほど水蒸気がより供給されて台風が発達するから。過去には10月に2週連続で上陸した例もあります」