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ダイアナ元妃 「90年代、その存在感は尋常じゃなかった」―没後22年に想うこと

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

ダイアナ元妃 1997年に撮影された写真【写真:Getty Images】
ダイアナ元妃 1997年に撮影された写真【写真:Getty Images】

過食症やうつ病…苦悩でいっぱいの結婚生活を赤裸々に明かす

 その一方、1995年のBBCドキュメンタリー番組「Panorama」のテレビインタビューでチャールズ皇太子との苦難にまみれた結婚生活を自分の言葉で赤裸々に語り、さらには過食症やうつ病に苦しんだことも明かして、あの太陽のようなプリンセスにもこんな苦しみがあったのかと、世界中を驚かせ、共感させた。

 またエイズにまだ偏見が満ち溢れていた時代に患者を抱きしめ、地雷地帯を自ら歩くという、王族でありながら自らを全く省みない行為で、ダイアナ元妃は人間の善を象徴する存在になった。

 しかもチャールズ皇太子と結婚した当時は19歳のあどけない少女だったダイアナ元妃が、王室の職務と社交を通じて、驚くほどの洗練とスタイルと身につけ、世界中の女性が注目するファッション・アイコンに変貌していった一面もある。

ウイリアム王子とヘンリー王子の不仲説 亡き母はなにを思うか

 そんなスーパースター中のスーパースターがこの世を去って22年、今夏の英メディアではそのダイアナ元妃のふたりの息子達の不仲がかしましく報じられている。

 クラウン(王位)を継ぐものとそうでないものとの軋轢、確執は何も過去に何度も英王室で起こっており、ウイリアム王子とヘンリー王子に始まったことではないが、ふたりの仲が報道通り、王位継承権の順位やお互いのライフスタイルの違い、また配偶者の個性の違い等の理由で険悪となっているのだとしたら、あのおおらかで正直者だった母が生きていたら何と言うことだろう。

 もしもダイアナ元妃が生きていればという想像は、それこそ万人に共通する思いだが、ウイリアム王子とヘンリー王子の不仲報道が流れる中、その願いにも近い想像はきっと世界中で無数の人たちが抱いたことに違いない。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)

◇森 昌利(もり・まさとし)1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動。93年に渡英、英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務経験などを経て、サッカーやカルチャーなどの分野で幅広く活躍。英国人の視点を意識しながら、日本へ魅力を伝える。