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カルチャー

心が疲れた…でも心療内科の受診に気後れする? 心理的なハードルを下げてくれる一冊

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

教えてくれた人:OliviA

ラブライフアドバイザーのOliviAさん【写真提供:OliviA】
ラブライフアドバイザーのOliviAさん【写真提供:OliviA】

 コロナ禍によるライフスタイルの大きな変化に加え、物価高や世界情勢などでも将来の見通しに不安が増えた……そう感じている人は少なくないでしょう。そこでしっかりとケアするべきは“心”ですが、心療内科などを受診するのは抵抗があるという声も。あらゆる分野で自分らしく活動する人たちが、生き方のヒントを得た本について語るこの連載。ラブライフアドバイザーのOliviA(オリビア)さんがおすすめするのは、精神科医と患者による対談をまとめた一冊です。治療の様子を垣間見ているような内容は、まさに「読むカウンセリング」なのだそう。体と同じように心も大切にするきっかけとして最適といえそうです。

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精神科や心療内科でのカウンセリングを対談形式で再現

 体と健康に関するカウンセリングや施術、セラピーをしている同業の友人がSNSに書いていたレビューを読んで、面白そうだなと手に取った本が「ラブという薬」(リトルモア刊)です。同業の友人たちが薦める本は、興味と関心を抱く傾向が近いこともあり、読んでみたくなります。それに、信頼している友人がレビューを書くくらいの熱量があるということは、きっと良い本なのだろうと思うわけです。

「ラブという薬」(いとうせいこう・星野概念著/リトルモア刊)
「ラブという薬」(いとうせいこう・星野概念著/リトルモア刊)

 この本は、クリエイターとして多方面で活躍するいとうせいこうさんと、精神科医でいとうさんの主治医でもある星野概念さんの対談本です。

 患者であるいとうさんの公開カウンセリングという形で書かれた、今まで読んだことがないタイプの本。精神科や心療内科で行われるカウンセリングが対談形式で分かりやすく再現されていて、治療の様子を垣間見ているようです。まさに「読むカウンセリング」といった感じでした。

 いとうさんが受けるカウンセリングは、物忘れが激しくなったといった、日常の世間話から入っていくこともしばしば。そういうことまで精神科医に相談してもいいんだと分かると、受診に対する心理的なハードルが下がりますよね。話があちこちに飛ぶのも世間話っぽい感じでいいし、それが相談者であるいとうさんが何かに気づくきっかけになるのも面白いんです。

カウンセリングを行う側にも気づきがある内容

 コロナ禍にある今は、行政や自治体の相談窓口が増えていることからも、受診したい人は少なくないのではと思います。この本は、そんなつらさを抱えている人たちの背中を、「ちょっと心療内科を受診してみてもいいかも」と押してくれるかもしれません。

 逆に、カウンセラー側にも気づきを与えてくれる本でもあります。カウンセラーは、悩みを抱える方々にどういう配慮をもって接し、どういう心理療法を使うことがベターなのか。なかなか知る機会のない、自分以外の人が行う治療方法がオープンに書かれています。

 私は公認心理師の先生と組んで、性の悩みに特化したカウンセラー育成講座を持っています。そこで、受講生にもこの本を薦めているんです。