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カルチャー

心が疲れた…でも心療内科の受診に気後れする? 心理的なハードルを下げてくれる一冊

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

教えてくれた人:OliviA

生きづらさを抱える人をやわらかく受け止めてくれる

何となく感じる生きづらさ…曖昧でいられることが肯定されたら気が楽に?(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
何となく感じる生きづらさ…曖昧でいられることが肯定されたら気が楽に?(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 この本で印象的なのは、全体を通して人の心の曖昧さや揺らぎをやわらかく受け止めていること。曖昧さを愛する私としては、とても親近感を覚えました。世の中には白黒つけられないグレーな部分も結構ありますよね。Aのこの部分とBのこの部分は共感できるけど、AかBのどちらかだけしか選べないとしたら、もやもやしてしまう。

 人はそんなグレーな部分を持て余しながら生きている。それが肯定されているようで、心がふわっとやわらかくなる気がしました。生きづらさを抱える人をやわらかく受け止めてくれる本だなと。

 帯に書かれていた「対話のカタチをした薬」というコピーもぴったり。読むだけで心にスーッと効いていく感じで、カウンセラーを目指す人、カウンセリングを受けたい人、どちらにもおすすめしたい本です。

 ちなみに私は、自分を持て余してしまう時、心療内科を利用したい派です。心がつらい時は、体の傷と同様に治療が必要。専門家にゆだねるようにしています。カウンセリングは、話しながら自分の中にある答えを見つけていくというスタンス。そうやって出した答えはむしろ、自分の人生を自分で決めている、人生の舵を取っているのは自分であるという自信にもつながるのではないでしょうか。

◇「ラブという薬」(いとうせいこう・星野概念著/リトルモア刊)
精神科の主治医・星野概念さんのもとに、患者として通っているいとうせいこうさん。その診療の様子を伝える対談集。精神医療の基礎やお互いの悩み、2人が思う社会への不安などさまざまな内容が語られている。

(関口 裕子)

OliviA(オリビア)

1980年生まれ。ラブライフアドバイザー(R)、アロマセラピスト、日本性科学会 会員。学生時代に「女性の性」をテーマに卒業論文を執筆したことをきっかけに、2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動を開始。台湾でも書籍を出版するなど、日本のみならず海外にも活動の幅を広げ、多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。近著に「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)など。