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割り勘はクールじゃない オーストラリアが誇るパブの文化 現地記者が楽しみ方を解説

公開日:  /  更新日:

著者:守屋 太郎

どうやってビールを注文するの?

オーストラリア人のビール愛好者は、日本と違って泡の多い生ビールを嫌う傾向がある。中には「No heads, please(泡なしでお願い)」と注文する人も【写真:Destination NSW】
オーストラリア人のビール愛好者は、日本と違って泡の多い生ビールを嫌う傾向がある。中には「No heads, please(泡なしでお願い)」と注文する人も【写真:Destination NSW】

 パブで飲まれる酒で圧倒的に多いのはビールです。瓶入りのビールやワイン、スピリッツ、簡単なカクテルも注文できますが、大半の人が飲んでいるのは、タップから注がれる生ビール。また、日本のように「酒の肴」を注文する習慣はありません。本格的に食事をする場合はパブ併設の「ビストロ」と呼ばれるレストランを利用できるものの、ほとんどの人はただただビールだけをひたすら飲み続けています。

 ビールグラスには、独特な名称があるので覚えておきましょう。最も一般的なのが「スクーナー(schooner)」で約425ミリリットル。より大きいのが「パイント(pint)」で約570ミリリットルです。

 パイントはアイリッシュ・パブ(アイルランド風パブ)での標準サイズです。飲んでいる人を見かけることはほとんどありませんが、285ミリリットルの「ミディ(middy)」という小さいグラスも。「お酒は弱いけどちょっと飲んでみたい」という人に最適でしょう。

 これらの呼称はシドニーやメルボルンなどでは共通ですが、南部アデレードでは「スクーナー」が285ミリリットルだったり、「パイント」が425ミリリットルだったりと、地域によって異なる場合もあります。

 注文する時は、カウンターでバーテンダーにビールの銘柄とグラスのサイズを伝え、その場で支払います。例文は「Could I have a schooner of Tooheys New?(トゥーイーズニューをスクーナーで1杯いただけますか?)」と非常に簡単です。

 ちなみに、パブでは「シャウト(shout)」という暗黙のルールがあります。これは、友達同士で飲みに行ったり意気投合した人と飲んだりする際、1人が人数分のビールをおごり、なくなったらまた別の人間が全員のビールを注文して、全員がおごるまでそれを繰り返すというものです。割り勘はクールではないとされます。

 人数が多いほど飲む杯数も増えてしまいますので、お酒の弱い人は要注意。酔った人を狙ったトラブルもあるので、その場に知らない顔がいる場合などは特に警戒を怠らないようにご注意を。

 ちなみに、パブに入店する際は運転免許証やパスポートなど生年月日が記入された写真入りの公的な身分証明書を忘れないでください。日本人は実年齢より若く見られがちです。身分証明書の提示を求められた際、持っていないために入店を断られるケースがあります。

 次回は、オーストラリア産のワインの魅力について解説します。

(守屋 太郎)

守屋 太郎(もりや・たろう)

1993年に渡豪。シドニーの日本語新聞社「日豪プレス」で記者、編集主幹として、同国の政治経済や2000年シドニー五輪などを取材。2007年より現地調査会社「グローバル・プロモーションズ・オーストラリア」でマーケティング・ディレクター。市場調査や日本企業支援を手がける傍ら、ジャーナリストとして活動中。