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からだ・美容

“抗がん剤治療で吐く”は昔の話? 39歳で乳がんに罹患した女性 予測がつかない副作用

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

副作用の程度 出るタイミングは人それぞれ

「副作用の症状や程度は個人差があって、逆に事前に説明する以外の予期せぬ症状や変化が出る場合もある」と事前に言われ、またいろいろな体験記を読んでいたので、人によって大きく違うのだろうということは覚悟していました。そうして実際にやってみると、本当に副作用には個人差があることを実感します。

 一般的によくあるという吐き気はほとんどなく、便秘になる人が多いと聞いていたけれど腹痛や下痢の方が大変。また、2~3日経つと出てくると言われていた症状が当日にやってきたり、1週間程度は続くと言われていたものがすぐに終わったりと、予測がつかないことばかりでした。

 また、毎回まったく同じではなく、クールごと、回を重ねるごとに症状の出方や程度にも変化がありました。一般的には、体に薬が少しずつ蓄積していくので、回数を重ねるほど強くなっていくといわれています。

 確かに、2回目以降は無自覚でありながら膀胱炎になったり、最後の方は強いむくみが出たりしましたが、初回しか出なかった副作用もあるのでやはり分からないものです。

「抗がん剤=吐く」は昔のイメージ?

「抗がん剤=吐く、食べられない」というイメージを持っている人が多いと思います。もう10年以上前のことですが、私の母は抗がん剤治療をしていたので、やはり吐き気や口内炎がひどく、食べられなくなっていました。そのため、受ける前は私自身もそう思っていたのです。

 ですが、私は事前に吐き気止めの点滴を使っていたこともあって、投与後1週間のうち数日はムカムカする時がある程度で、吐き気に悩まされることも、最後まで吐くこともありませんでした。食欲も落ちず、口の中は少し荒れた感覚の時期があるくらいで、口内炎もできずしっかり食べられました。

 母が治療していた当時と今では、医療事情は大きく変わっています。出やすい副作用は薬を使って防いだり、症状が出ても対処する薬を使ったりして、うまく乗り切れるようになっていて、薬もかなり進歩しているのだと感じました。

やってみなければ分からないが…マイナスなケースばかりではない

 たとえ同じ薬を使っていても、人によって事前に想像しているつらさの程度や、痛みの感じ方、影響も違います。そのため、結局は「経験してみないと分からない」という結論になってしまうのです。

 ただ、思ったより副作用が軽かったとしても、つらくて苦しんでいる人がたくさんいる中で「大丈夫でした!」とは言いづらいもの。そうしたポジティブな情報は少ないという現実もあるのではないかと思います。

 私は「どうせやるなら少しでも楽な側の人になりたい!」という思っていたので、情報が少ないながらもできるだけ「比較的軽かった」「思ったより大丈夫だった」といった“良い情報”を見るようにしていました。

 そのため、今振り返れば「楽ではないし大変な時期もあったけれど、想像していたより工夫しながら乗り切れた!」というのが本音です。大変な治療でもいろいろケースがあると知ってもらうことで、これから治療に挑む方の不安や心配が少しでも和らげば……と思っています。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン