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からだ・美容

老けて見える「白髪」 増やさないための予防法を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

急に老け込んで見える気がしてしまう白髪。医師が教える対処法は(写真はイメージ)【写真:写真AC】
急に老け込んで見える気がしてしまう白髪。医師が教える対処法は(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 年を追うごとに髪質は変化し、顔の印象を大きく左右します。ある調査によると、25~59歳の女性が抱える髪の悩みでダントツだったのは「白髪」。白髪1本でも急に老け込んだ気がしてしまうのが女心です。気になっているけれど、正解がどうも分からないという健康や美容の疑問を医師が解説する連載。今回のテーマは「白髪」です。白髪は老化現象の一つですが、遺伝やストレスなど原因はさまざま。「もう年だから」と諦めがちですが、増やさないための予防策や白髪は抜いてもいいのかといった正しい対処法を、佐藤卓士医師に教えていただきました。

 ◇ ◇ ◇

髪の毛が黒々と成長する理由はメラニン色素

 そもそもどうして黒い髪が白くなるのでしょうか。髪が黒々としているのは、メラニン色素があるからです。メラニンは黒い色素で、髪だけでなく肌や瞳の色もメラニン色素の量によって決まります。

 髪が生成されるのは、頭皮の奥にある毛根の「毛球部」。毛母細胞が髪を作る工場で、そこに隣接しているのがメラニンを作り出すメラノサイト(色素細胞)です。メラノサイトでメラニン色素が作られていれば、髪は黒々としたまま成長。

 しかし、何らかの原因で機能が低下すると、メラニン色素が作られず白髪となるのです。生えている髪が途中から白くなってしまうことも。これは、成長途中でメラニン色素が急に作られなくなったからです。

加齢やストレスによってメラニンが作れなくなるのが原因

ストレスは万病のもと。白髪の原因になることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ストレスは万病のもと。白髪の原因になることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 では、なぜ黒い色素を作るメラノサイトの働きが鈍くなったり、休止してしまったりするのでしょうか。解明されていないことも多いのですが、大きく4つあります。

 1つ目は、加齢によって機能が衰えていくため。2つ目は、遺伝的要因です。近年の研究で、メラノサイトの作用を抑える遺伝子があることが分かってきました。10代や20代でも白髪が生えてきている人は、遺伝的要因によるものかもしれません。

 3つ目は、細胞の活動を維持するための栄養が不足することです。偏った食生活も白髪の原因になります。4つ目は精神的ストレスです。ストレスは万病のもとともいわれますが、メラノサイトにもダメージを与えると考えられます。自律神経が乱れ、血行不良になり代謝が鈍くなって機能が低下してしまいます。

一時的ダメージによる白髪は黒く回復する可能性もあり

 一度、白髪になったら黒い髪が生えてこないのかといえば、絶対に黒くならないとはいえません。

 白髪には2つのタイプがあります。メラノサイトそのものが減り、メラニン色素を失う「欠失型」。そして、メラノサイトが一時的にダメージを受け、メラニン色素を製造することを休止している「休止型」です。

 多くの白髪は欠失型で、黒く回復することはないでしょう。休止型であれば、理論上は戻る可能性があります。一過性のストレスや栄養不足、睡眠不足によってメラノサイトの働きが休んでいても、生活を見直せば戻る可能性はあると考えられます。

 強いショック、ストレスで一夜にして白髪になる……。という都市伝説のようなものがありますが、これは医学的に考えられません。メラノサイトにダメージを与えたとしても、すでに生えている髪は黒いままですし、メラノサイトの働きもすぐに停止するわけではありません。

 ストレスが続けば、毛母細胞やメラノサイトに栄養が十分に運ばれていかないので、抜け毛や白髪が増えることにはなります。それは徐々にであって、一気に増えるということはないでしょう。