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話し上手の近道は「聞く力」 効果的な相槌や質問のコツを現役アナウンサーが伝授

公開日:  /  更新日:

著者:小倉 星羅

その3 同じトーンでオウム返し

相手が話しやすくなるリアクションを【写真提供:小倉星羅】
相手が話しやすくなるリアクションを【写真提供:小倉星羅】

 相手の話したことをそのまま繰り返し、相槌を打つ方法です。例えば、「最近嫌なことがあったんですよ」には「嫌なことがあったんですね」と返すだけです。

 ポイントは相手と同じテンションと声のトーンで返すことです。ただ、何度もオウム返しをすると聞いていないと思わせてしまうことも。相手の話が長く、返しが多くなる場合は、「どんなことがあったのですか?」と質問を投げかけることも必要です。

その4 軌道修正にもなる要約返し

 テレビのインタビューなどでも使われる要約返しは、相手の話した内容を簡単にまとめて質問につなげる手法です。

 話を聞く中で、相手の話が長くなってしまったり、脱線してしまったりした場合などは、いったん聞き手の方で要約を伝えてみると良いでしょう。その上で次の質問につなげることで軌道修正をすることができます。時にはメモを取るなどして、話し手に要約を返して確認するのも良いでしょう。

質問にはクローズドとオープンの2種類ある

時にはメモを取ることも必要【写真提供:小倉星羅】
時にはメモを取ることも必要【写真提供:小倉星羅】

 聞き手として話し手に伝える「質問」について、もう少し掘り下げていきましょう。質問は次の2つがあります。上手に使い分けて、聞き手としてお話を盛り上げていきましょう。

○クローズドクエスチョン
「はい」「いいえ」で答えられる質問です。大勢に話を聞く時には有効ですが、具体的な内容を聞く際には向いていません。ただ、質問を深掘りするきっかけとして使用することもあります。

○オープンクエスチョン
「それはなぜですか?」「どうしてそうなったのですか?」など、具体的に聞く質問法です。まずは「5W1H」と称される「When(いつ)、Why(なぜ)、What(何)、Where(どこ)、Who(誰)、How(どのように)」を用意します。質問力を上げるためには、まず相手の情報一つひとつに「5W1H」の質問を準備します。相手の回答を想定し、その中で必要だと思うことを実際に相手に聞くことで、良いお話を導き出すことができます。話の中でさらに、疑問に思ったことや興味を持ったことを聞いていきます。

聞く力を身につけるメリット

 以上、聞く側としての4つの返しポイントや、質問の仕方についてお伝えしました。まずは、聞くのに専念することを目指しましょう。話を聞き、要約する中で質問力も上がり、コミュニケーションが深まります。もちろん、自分の知らなかったことや分からないことが出てきた場合には、知っているふりをせず素直に聞くことも大切です。

 聞き上手は話し上手にもつながります。質問力など聞く力がつくと、自分が話す側になった際に相手がどんなことを聞きたいのかを予測することができ、話しやすくなるメリットもあります。ぜひ、相手の魅力を引き出す話の聞き方を身につけてくださいね。

(小倉 星羅)

小倉 星羅(おぐら・せいら)

広島テレビ、千葉テレビ(チバテレ)のアナウンサーを経て、東京五輪・パラリンピックではメダリストインタビューを担当。現在は、プロ野球・読売ジャイアンツの場内アナウンスや大妻女子大学でアナウンス演習の非常勤講師。フリーアナウンサーの和田奈美佳とともに「話し方教室」を開講中。