Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

「知らなくていい」はNGワード 2~3歳児の「お風呂性教育」 性被害防止にも効果的

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:OliviA

「大事なところ」をしっかり教えて性被害の防止を

「大事な場所」を知らなければ保護者に報告することすらできない(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
「大事な場所」を知らなければ保護者に報告することすらできない(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 未就学児にとってお風呂場は、プライベートゾーンについて学ぶ場所でもあります。プライベートゾーンとは何なのかを教えるのは、性被害の防止にもなる大切なこと。ぜひ照れずにきちんと教えてほしいと思います。

 日本語ではプライベートゾーンを「大事なところ」と言うこともあります。口と胸と性器、お腹なども該当するかもしれません。よく言われるのが「水着で隠されているところ」。そこは自分にとって大事なところであり、気安く人に見せたり触らせたりしてはいけないと教えることが、性犯罪を未然に防ぐことにつながる可能性があります。

 例えば、子どもの目線が大人の性器に近いので、お母さんの胸やお父さんの股間に触ろうとすることがあります。国際的なスタンダードではそこで、「ここはパパの大事なところだから勝手に触ったりしちゃダメだし、自分の同じところを触らせるのも、お友達のを勝手に触るのもダメだよ」と教えるのです。性教育の第一歩はまずこれかなと思います。

 私の元には、子どもの性被害についてご相談が寄せられることがあります。例えば性器を露出され、「触って」と言われたなどの内容です。

 しかし子どもに知識がない場合、保護者が子どもの性被害に気づくには、一般的にとても時間がかかるようです。なぜなら、子どもが「大事な場所」を知らなければ、保護者に報告することすらできないから。そのためまずは、大事なところを人に見せる・見せられる、触られる・触らせることは総じて「ダメ」という認識を持たせることが、とても大切だといえるでしょう。

 また幼児期の性被害では、大人になって初めて「あれは性被害だった」と気づくパターンもあります。他方で、性器に興味を持ち、お友達の性器をいじって傷付けてしまうなど、知らずと性加害者になってしまうケースも。子どもとはいえ性加害者になる可能性もありますので、十分に理解させることが大切です。

性教育には必要不可欠 子どもとの関係性と言葉の選び方に気配りを

 同時に保護者の側は、そうした出来事を親に気兼ねなく言ってもらえる関係性を作っておくことも大切です。性に関して困ったことや変なことがあれば、保護者や信頼できる第三者の大人に伝えられる、報告できる関係性です。これを築くことも性教育のベースになります。

 そのためには、性や性器についての話や問いをタブーにしないことが必要。口に出して「そんなこと聞いちゃダメ」などと叱られた経験を持つと、その後は萎縮して相談しなくなってしまうことがあるのです。性的なことに興味を持ち、それについて話すことがあってもまず耳を傾ける。頭ごなしに叱ることだけは絶対に避けてください。

「おしり」「おちんちん」などの言葉に著しく興味を持つ年頃もあります。男の子に多く、外や学校で連呼してしまい、親や大人を困らせるという状況もあるでしょう。まずは、そのワードを聞くことで驚く人がいるという事実を教えなければなりません。

 そこで「大事なところを見せたり、触らせたりするのがダメなのと一緒で、人前で大事なところの名前を大きい声で言うと驚いたり、気分を害してしまう人がいる」と教えてください。「言っちゃダメ」と言葉を禁じるのではなく、「言葉を口にする行為で他の人がこうなるからダメ」と伝えることです。ただ禁句にするより、子どもにはその方が伝わります。

 子どもへの伝え方は、子どもの将来にも大きく影響することですので、ぜひ言葉を選んでいただければと思います。私の元にいらっしゃる相談者さんには、小さい頃に保護者から性的なことの見聞きを厳しく禁じられたことを引きずり、大人になった現在の恋愛で悩まれている方もいます。保護者の言葉や態度は、子どもの恋愛感やセックス感に大きく影響することをぜひ意識しましょう。

(Hint-Pot編集部)

OliviA(オリビア)

1980年生まれ。ラブライフアドバイザー(R)、アロマセラピスト、日本性科学会 会員。学生時代に「女性の性」をテーマに卒業論文を執筆したことをきっかけに、2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動を開始。台湾でも書籍を出版するなど、日本のみならず海外にも活動の幅を広げ、多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。近著に「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)など。