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からだ・美容

元SKE矢方美紀さんが知った乳がん治療の複雑さ 「同じ病気なのに分からない、すごく不思議」

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

SKE48で活動中に乳がんを発症。現在はタレント、声優として活躍する矢方美紀さん【写真提供:矢上美紀】
SKE48で活動中に乳がんを発症。現在はタレント、声優として活躍する矢方美紀さん【写真提供:矢上美紀】

 10月は、乳がん検診の重要性などが呼びかけられるピンクリボン月間です。日本人女性が人生で乳がんに罹患する確率は9人に1人ともいわれ、身近な病気となっています。そこで、25歳で乳がんと診断されたことを公表した矢方美紀さんと、今年2月に乳がんが判明し、「世の女性に乳がんのことを知ってほしい」との思いから「Hint-Pot」で連載を綴っているライターの島田みゆさんが、乳がん治療のリアルを全3回にわたって対談します。第2回は乳がん治療について困ったこと、術後の薬物療法での苦しみなどについてです。

 ◇ ◇ ◇

化学療法と仕事の両立 そして脱毛との向き合い方は

――乳がんの薬物療法に関して、選択するまでの悩みや葛藤などの心境を聞かせてください。

矢方美紀(以下、矢方):化学療法は副作用が強く、きつい治療になるということは覚悟していましたが、治療をしながら仕事はできるのかなど未知数なことが多かったので「耐えられるのかな」という不安が大きかったです。

 治療は、抗がん剤を投与した週は休んで、翌週体調が戻ってきたら仕事をするというスタイルで、5か月ほど続けていましたね。最初はすごくきつくて、1回目の投与で「もう無理だ、続けられない」と逃げたくなりました。

 でも、普段の生活でさえ大変なのに治療をしながら自分のやりたいことに取り組んでいるいろんな方の記事を読んで、「こんなところで甘えてちゃいけない。やるしかない!」と励まされました。回数を重ねていく中で副作用もコントロールできるようになったので、少しずつ前向きになれたことも大きかったです。

 また、脱毛の副作用についても、髪の毛が抜けるのはどんな感じなのかと不安もありましたが、「普通ではできない経験ができる」と思って受け入れました。がん患者の方や脱毛症などで悩まれている方が、どんな気持ちで日々生活をしているのかは経験してみないと分かりませんし、内面的なつらさや乗り越えたものを経験できるのは、きっと人生の中で大きなものになるかな、と。しんどかったですが、振り返れば人生の経験という意味で大きなものを得られたと思います。

島田みゆ(以下、島田):私の場合は、最後の遺伝子検査の結果が出るまで抗がん剤をやらない可能性の方が高かったので、化学療法という選択肢が出てきた時はショックでした。しかも検査結果の数値もとても微妙で、やるもやらぬも私次第といった状態で……。その決断が苦しかったです。

 胸の有無は外から分かりませんが、脱毛は一目で分かります。また、薬によって体にどういう影響があるのか、どんな副作用が出るかも分からないので、「やります!」とは即答できませんでした。その時いろんな人に相談してみて、やる派、やらない派、両方の意見をたくさん聞くことで「私はやろう!」という覚悟が固まったように思います。

 脱毛については、抜け始めてすぐに1ミリの丸刈りにしてしまいました。私は治療終了後はまだらに抜けていたので、前に一度すべて剃ってスキンヘッドにしてしまって、今ようやく生え始めた坊主なのですが、ほとんどウィッグは使わずに生活しています。それはそれで楽しめていて、貴重な経験ができて良かったとも思っています。