からだ・美容
元SKE矢方美紀さんが知った乳がん治療の複雑さ 「同じ病気なのに分からない、すごく不思議」
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さまざまな副作用 便秘やむくみなど人から理解されにくいつらさも
――副作用では具体的にどんなことが一番大変でしたか?
矢方:投与した2時間後に、3分に1度吐き戻すということが半日続きました。吐くことそのものも体力的につらかったですし、その度にトイレを行き来するのがしんどかったです。また、投与して1週間後くらいまでは便秘に悩まされて……。体の中に悪いものが溜まっているような感覚がすごく嫌でしたね。
ただ、それを周りの人に言っても「便秘!?」と真剣に受け止めてもらえなくて。私としては仕事にも支障が出るくらいきつかったのですが、体の中の症状というのは表に出てこないので分かってもらえないという大変さがありました。
あとはむくみです。顔もパンパン、腕や脚まで全身がむくんでしまって、それが本当に嫌でした。できるだけ人に会わないように、いかに体型が分からない服を選ぶかというのが大変でした。
島田:身体的につらかったのは、倦怠感や発熱、関節痛でした。抗がん剤を投与した翌日から順番にやってきて、その後、私は便秘ではなく下痢と腹痛が大変でしたね。元々お腹が弱いのですが、投与後3日後くらいからお腹の調子が悪くなり、3時間くらいはずっとトイレを行ったり来たりで……。吐き気は、4回目の投薬の後にムカムカが続いたくらいでほとんどありませんでした。
衣食住は人によって悩みが バリエーションを上手に利用して
――衣食住での制約やルール、生活に直結するような困り事はありましたか?
矢方:医師から食べ物についての制約はなかったので、基本的に食べたいものは食べるようにしていました。ただ、治療の中は副作用で味覚障害が出てしまったので、味がしなくて食べ物がおいしくないというのはショックでしたね。薬を飲むためにのど越しがいいものを食べるという状態でした。
服に関しては、いかに傷口に当たらない服を選ぶかを気にしていました。術後3か月ほどは腕がうまく上がらなくてかぶりものが着られなかったので、前開きの服やゆったりめでボディラインが隠せる服を選んでいました。
下着も以前はワイヤー入りのブラジャーがほとんどでしたが、今では常にカップ付きキャミソールを着ています。以前に比べて最近は取り扱っているところが増えて、夏なら清涼感のあるもの、冬なら保温効果のあるものなどバリエーション豊富なので助かっています。
島田:私も手術以来、下着はカップ付きキャミソールを愛用しています。
抗がん剤治療中はとにかく食べられるものを、と思っていました。ただ、食物繊維の多いものや消化に負担がかかるものはお腹が痛くなることが分かったので、揚げ物や辛いもの、味の濃いものなどは控えて、胃に優しいおかゆややわらかいパン、野菜のスープなどを食べていましたね。生ものはできれば控えた方がいいとも言われていたので、念のため刺身や寿司、生野菜などではなく、火が入っているものを選んでいました。
そもそも倦怠感などで出かける気分にはならず、コロナの感染拡大の時期でもあったので自粛していました。ただ、まったく外に出ない、筋力が落ちるのは良くないと思って、1日30分の散歩は日課にしていましたね。