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元SKE矢方美紀さん 乳がん治療を経て変化した人生観と人間関係 母親との今は?

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

元SKE48で現在はタレント、声優として活躍する矢方美紀さん【写真提供:矢方美紀】
元SKE48で現在はタレント、声優として活躍する矢方美紀さん【写真提供:矢方美紀】

 日本人女性が人生で罹患する確率は9人に1人ともいわれる乳がん。ピンクリボン月間である今、「Hint-Pot」では、25歳で乳がんを公表した元SKE48で、現在はタレント、声優として活躍する矢方美紀さんにインタビュー。対談相手は、今年2月に乳がんが判明し右胸全摘手術を受け、「世の女性に乳がんのことを知ってほしい」との思いで連載を綴っているライターの島田みゆさんです。最終回の今回は、乳がん治療で変化したこと。人生観や人間関係で変わったこととは。

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自己肯定感に変化も 乳がんによって変わった仕事観や人生観

――乳がん罹患前と後で、仕事や人生観についての変化はありましたか?

矢方美紀(以下、矢方):今までは性格的に「私なんて」と思うことが多くて、目立つことがあまり好きではなかったり、何かできなくても「またやればいい」と思ったりすることがありました。でもそんな風に諦めて、先延ばしていると後々後悔するからダメだと思うようになりましたね。

 乳がんになったのが、ちょうど新たな夢に向かって進もうとしている時で、病気になったらもう夢や目標を叶えることは難しいんじゃないか、諦めないといけないのではと思ってました。ただこの病気で自分の人生のタイムリミットが近くなるかもしれないという現実を突きつけられ、「人は生まれたら死ぬ」という事実に直面して。だったら、「もし今後再発して余命がこれだけと言われたとしても悔いなく生きようと。無理かもしれないけどやりたいことやろう!」と決めて、やりたい声優や芸能の仕事を続けようと思いました。

 特に、このコロナ禍の約2年の間で、会えないまま亡くなってしまった知り合いもいたので、やはり人は会える時に会っておかなくては、喜びや感謝はしっかり伝えなくてはとより一層思うようになりましたね。

島田みゆ(以下、島田):私は20代、30代で親を病気で亡くしていることもあって「人生にリミットはある」ということはある程度理解しているつもりでしたが、実感としてはまだまだ分かっていなかったなと思い知らされました。「人には何が起こるか、いつ死ぬかも分からない」ということを痛感して、今をちゃんと生きなくちゃという思いは強くなりました。

 また、以前は自己肯定感が低くて、人と比べてばかりで自分を認められないところがありました。病気になって、胸もなくて、生理も止まっていて、今なんて髪もなくて……一般的な女性らしさという点から見れば、欠落していることばかりです。

 だからこそ逆に「私は私」「もう人と違うから仕方ない」と良い意味で開き直れるようになりました。もう同じ土俵には立てないし、そもそも立つ必要もない、比べること自体に意味がないんだなと。「人と同じでなければ」というこだわりを手放せるようになって、今の方が自分のことが好きで、受け止められていると思います。