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からだ・美容

元SKE矢方美紀さん 乳がん治療を経て変化した人生観と人間関係 母親との今は?

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

病気について聞いてもいい? 心配してくれる気持ちがあれば伝わる

――病気ではない立場の人間が状況を聞くのは躊躇してしまうところもあるのですが、その辺りは聞いていいものなのでしょうか?

矢方:それについては問題ないですね。聞いてくれるのはかなり密な関係の友人でしたし、身近に罹患した人がいるから心配して聞いてくれているといった子もいるので、特に聞かれて嫌だなと思うことはありませんね。

島田:私も「何でも聞いてください」という感じです。ただそれも本当に人それぞれで、矢方さんや私は「聞いてOK」というタイプですが、人によってはそもそも乳がんになったということを知られたくないという人もいます。

 罹患していない人が何か聞くこと自体は問題ないと思うのですが、そこで「○○なら良かったね」とか「○○しなくていいの」「××しなきゃダメなんじゃない」とか、意見を押し付けてしまうと「当事者じゃないのに分かるわけない!」となってしまうのかなと。その方との関係が一番大事で、「言いたくなければ言わなくていいよ」「こんなこと聞いても良い?」など、一言伝えながら声かけすれば良いのではないかなと思いますね。心配している気持ちで聞いていることであれば、伝わると思います。

乳がん初期は体調変化やしこりがない場合も 気になったらすぐに検査を

――乳がんは幅広い年代がなる病気。今、伝えておきたいことはどんなことですか?

矢方:がん検診は対象年齢があるので、その時期になったら検診に行ったり病院に行ったりして診てもらうのはとても大事です。

 ただ「がんについて知る」のは、年齢関係なく若い頃からでもできます。SNSでも「同じ年齢で乳がんになりました」というDMをもらうことが多くて、最近では若くして罹患する方も増えているという話も聞きます。不安な状況で「いろんな方が発信している情報を見たり聞いたりすることで安心できました」「矢方さんのことを知ることができて良かったです」と言ってくださる方も多いんです。もしかしたら、こうした情報をふと目にしたことで、早期に発見できることにもつながるかもしれません。

 今はスマートフォンでいろいろな情報を得られる時代です。今後のことを考えると病気の発覚や治療はできるだけ早い方がいいので、ちょっとでも時間がある時に乳がんについて調べたり考えたりしてほしいなと思います。

島田:乳がんになる前は、身近で罹患した人もいなくて自分にはまったく無縁のように思っていましたし、周りからもきっとそう思われていました。ただ、どんなに健康だと思っていても「私は大丈夫」というのはないんですよね。

 また、私も自分でしこりに気づいて病院に行ったのですが、乳がんに限らず自分の体に異変を感じたり疑問に思うことがあったりしたら、怖がらずに専門の病院にいくことは大事だと思います。乳がんの初期は、体調そのものに変化はない、タイプによってはしこりもないということもあります。今これを読んで「年齢的に検診対象じゃないけどちょっと気になる」「そう言われると不安になってきた」と感じた方がいたら、ぜひ一度調べてみてほしいですね。

◇矢方美紀(やかた・みき)
1992年、大分県生まれ。17歳で名古屋を拠点に活動するアイドルグループ・SKE48の第3期メンバーオーディションに合格しデビュー。2017年、グループ卒業。翌2018年1月、25歳で乳がんの告知を受け、左乳房全摘出・リンパ節切除。現在は「自身の体を知る」ことの重要性や、がんになっても夢を諦めない姿を伝えている。テレビやラジオ出演・ナレーション・MC・講演会の他、声優としても活躍中。

(島田 みゆ)