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柿の黒い斑点は食べられる? 正体はポリフェノールの一種 甘柿と渋柿の違いにも影響

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

旬の柿。果肉の黒い斑点は…?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
旬の柿。果肉の黒い斑点は…?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 柿がおいしい季節になりました。日本で柿は古くから食べられてきた果実。本来は渋柿だったのが、鎌倉時代の頃に渋みのない甘柿が日本で発見されたといわれています。柿を食べようと切ってみたところ、果肉に黒い斑点があるケースがあります。食べられるのでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

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果肉の黒い斑点の正体は

 柿を食べようとカットしたら、果肉に黒い斑点がたくさんあり、食べても良いのか迷った経験はありませんか。果肉の黒いゴマのような点々でしたら、カビなどではなく、食べて問題ありません。

 この黒い斑点の正体はポリフェノールの一種「タンニン」が変化したもの。タンニンは渋みの成分で、元々柿に含まれています。柿の成長に伴い、果肉の中で化学反応が起き、最終的に渋みが抜けた不溶性のタンニンが黒い斑点で残るといわれています。「ゴマ」とも呼ばれ、むしろ甘くなった証拠といわれています。

 しかし、果肉が部分的に黒く変色し周りがやわらかく崩れている場合は、タンニンの黒い斑点とは異なり虫に食べられている可能性もあるので、取り除いて食べましょう。また皮が黒く変色している場合は、何かに当たってしまったか、またはカビの可能性もあります。ヘタの周りも同様です。厚めに皮をむき、果肉部分を確認しましょう。

甘柿と渋柿との違いはタンニン

干し柿(写真はイメージ)【写真:写真AC】
干し柿(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 柿には、大きく分けると甘柿と渋柿の2つがありますが、この違いはタンニン(シブオール)にあります。渋みのない甘柿は、日本固有の突然変異種と考えられています。主な品種には、甘柿は富有柿、次郎柿、筆柿など、渋柿は平核無柿、刀根早生などがあります。

○甘柿
 水溶性の渋み成分タンニンの不溶化が起こるため、渋みをほとんど感じず、甘さを強く感じられます。甘柿を切った際に、果肉にゴマ状の黒い斑点があればタンニンで、その柿は甘く熟したと判断できます。おいしくいただきましょう。

○渋柿
 タンニンが水に溶けた状態なので、食べると舌に渋みを感じます。渋抜きすることによって水に不溶の状態に変化し、渋みは感じなくなります。干し柿も同様です。もし干し柿に黒い斑点があっても、タンニンが変化したものといえます。

 ちなみに、タンニンにはさまざまな種類があり、代表的なものは緑茶に含まれるカテキンもその一種です。柿に含まれるタンニンはシブオールと呼ばれ、抗菌、抗ウイルス作用があるとされ、近年注目されています。

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(Hint-Pot編集部)