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からだ・美容

抗がん剤治療中にコロナ感染…39歳乳がん患者の症状や治療への影響は?

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

コロナの症状より、抗がん剤治療が遅れたことに精神的なダメージも

 翌日、また朝から電話をしてみると、「抗原検査だけはできるから来てもいい」というクリニックを見つけることができました。ただし予約はできず、かつ同じような状況と思われる人もたくさんいたのか、着いてからは約2時間半待ちです。ようやく検査を受けられましたが、結果は陽性。やはり感染していました。

 もちろんコロナの症状が落ち着かないと、抗がん剤治療はできません。主治医と話した結果、「自宅療養期間後の体調をみて、その時点で特に症状が残っていなければ、かついつもの事前検査をして問題なければ4回目の投薬をしましょう」となり、最後の治療を目前に延期が決まってしまいました。

 この時ばかりは本当にショックでした。そもそもほとんど外出しておらず、今クールでまともに出かけたのはたった1日。しかも感染対策をしていたのに……。

 それまでピンと張り詰めていた糸がぷつっと切れたように、自然と涙が出てきました。コロナそのものの症状よりも、治療ができなくなってしまったことの方が、気持ち的にはるかにつらく感じたのです。

無事に復調! 1週間遅れて最後の抗がん剤治療へ

 とはいえ、感染してしまったものは仕方がありません。38度少しの熱とだるさ、鼻水という軽い風邪のような症状。少しでも症状を悪化させたり残したりせず、治すことだけを考え、しっかり寝る、水分を取る、手洗いとうがい、鼻うがいをするなど、風邪の対処法を実践しました。

 幸い、熱はすぐに下がり、その後も悪化したり、新たな症状が出たりということもなく、10日間の療養期間後はすっかり体調が戻りました。そして最後の抗がん剤治療も、1週間延期されただけで、翌週には問題なく受けることができたのです。

「症状は? 後遺症は? 今後の治療は?」と、一時はどうなってしまうのかと思いましたが、さほど影響なく乗り越えられて本当に安心したものです。コロナ禍ならではの治療の難しさを実感する体験でした。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン