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意見したタワマンマダムにバッシング! 修繕費高騰で理事会が大混乱…対処法はある?

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

意見しただけなのに…バッシングに悩むタワマンマダム(写真はイメージ)【写真:写真AC】
意見しただけなのに…バッシングに悩むタワマンマダム(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 マンション建物設備の老朽化や不具合などによる事故を防ぐため、一定の期間ごとに行われる「大規模修繕」。一般的には12~15年間隔ですが、現在は修繕されずに放置されている集合住宅が増えているともいわれています。その理由は、さまざまな社会情勢を反映した修繕費の値上がり。都内のあるタワーマンションでは、修繕費用の大幅値上がりで理事会が大混乱。そこで意見したところ、自身に対するバッシングの嵐まで吹き荒れてしまったというタワマンマダムのエピソードを紹介しましょう。不動産のプロ、東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む姉帯裕樹さんのアドバイスとともにお届けします。

 ◇ ◇ ◇

多数の修繕要望で大揉め ようやく出た見積もりは想定の3倍!?

 今回お話を伺ったのは、分譲タワマンで家族と暮らす畠山乃里さん(仮名・47歳)。十数年前、都内某所に建てられた物件です。問題が起こったのは昨年のこと。そろそろ大規模修繕を……と管理会社から連絡があり、修繕内容を詰めるために管理会社がすすめる業者を呼んでの理事会が開かれました。

「忙しくて仕事を休めない夫の代わりに、私が理事会に出たんです。業者の方から話を聞いて、『必要なのは外壁の塗装と屋上の防水くらいかな?』と思っていたのですが、やれ『共用部のリフォームをしろ』や『エレベーターをかけ直せ』、『エントランスがダサいから作り直せ』など、さまざまな要望が出てきてその場が紛糾したんですよ」

 それでもどうにかこうにか住人の要望をまとめ、管理会社に提出。後日、管理会社が費用の見積もりを持参したところ、それを見た住人たちが怒鳴り声を上げ始めたそうです。

「驚くほど高額だったんですよね……。業者の人によると、コロナ禍や国際情勢の変化で資材の価格が高騰し、職人さんを呼ぶにもこれまで以上にお金がかかるとのこと。それまでに集まっていた修繕積立金だけではまったく足りず、想定の3倍くらいの金額を借りなければならない状況でした」

「若いくせに文句を言うな、何も知らないやつは引っ込んでろ」

 そして再び理事会が。状況が状況だけに、「あれもこれもと欲を出すことはできない。必要のない修繕をせず、減らせるところは減らそう」という話になったものの、それぞれが好き勝手に述べ、意見は割れるばかりです。

「エントランスの変更は譲れない」
「ラウンジは絶対にきれいにしてほしい」
「外壁のタイルを新しくするべき」
「いや、駐輪場の建て替えは必須だ!」

 会合は1時間ほどと言われていたのに、2時間経っても3時間経っても話はまとまらず。そこで「今は、そんなわがままを言い合っている時ではないのでは? 必要最低限だけ修繕することに決めたらどうでしょうか」と口を挟んでしまったのです。

「それからはもう、お決まりのように他の住人からバッシングの嵐。『若いくせに文句を言うな、何も知らないやつは引っ込んでろ』ですって。私は正直、そうした言葉が胸に響くほど繊細な性格ではないので、特に気にせず淡々としていました。

 ですがどうやら、影響が子どもにも行ってしまって……学校でいじめられているようなんですよ。夫に状況を話し、『このままタワマンにいても意味がないよね?』という結論に。なので今、まさに引っ越しをしようと画策しているところです。まぁ……タワマンって、ある程度のステータスがある人たちが集う大人のための住居だと思っていたのですが、『意外にわがままな住人が多いんだね』って夫と笑い合っています」