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漫画

疑った自分を恥じた…聴覚障害あるママと看護師さん 信頼関係描く漫画に3.3万人感動

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

漫画のワンシーン【画像提供:ミカヅキユミ(@mikazuki_yumi)さん】
漫画のワンシーン【画像提供:ミカヅキユミ(@mikazuki_yumi)さん】

 話しかけてきた相手の外見や印象から「意思疎通ができない」と判断し、その人と一緒にいた別の人に返答することを「第三者返答」と呼びます。障害を持つ人や子ども、外国人などに対して無意識で行ってしまう人も少なくないそうです。そんな「第三者返答」をテーマに、聴覚障害を持つママの視点で描いた漫画が3.3万件の“いいね”を集めて話題になっています。作者のミカヅキユミさんにお話を伺いました。

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聴覚障害者のミカヅキユミさんが信頼を寄せる看護師のタツミさん

 生まれつき聴覚に障害を持つミカヅキさんは、9歳の息子さんと5歳の娘さんを育てるママ。ツイッター(@mikazuki_yumi)やインスタグラム(mikazuki_yumi)、ブログ「背中をポンポン」で、日常を描いたコミックエッセイを発表しています。そのテーマは、子育ての中で誰もが経験する悩みや問題に、“聴こえない母”がどうやって向き合うのかということ。

 今回話題になった漫画は、かかりつけのキッズクリニックで起こった出来事を描いたものでした。タイトルは「わたしのことが見えている人」の前編部分。登場するのは、クリニックでお世話になっている看護師のタツミさんです。

 ミカヅキさんにとってタツミさんは一番の理解者。ミカヅキさんの聴覚障害を自然に受け止め、担当医とのやりとりも丁寧にフォローしてくれます。以前から「第三者返答」に直面した際の心情などを漫画に綴っているミカヅキさんですが、タツミさんはミカヅキさんのことが「見えている人」なのです。

娘さんの病気を通じて改めて知った…タツミさんの深い思い

 娘さんが生後7か月の頃に高熱を出してしまい、診察を受けると細菌感染が判明。入院の可能性もあるため、ミカヅキさんはタツミさんから「今後の流れを説明したいからパパさんに来てもらお?」と告げられました。

「率直な気持ちとしては私に話してほしかった」「私はまた透明人間になっちゃうのかな」──。

 ミカヅキさんは車で待つパパさんを迎えに行きながら、タツミさんとパパさんの間だけで話が進められ、自分だけ話の内容が分からない状況になる可能性を考えて、さまざまな感情が渦巻きます。けれども、娘さんの治療を最優先するためにも、ミカヅキさんはぐっと感情を飲み込み透明人間になる覚悟を決めました。

 こうしてパパさんとともに院内へと戻ったミカヅキさん。腹を括りながらも「夫が現れた途端、相手の視界から自分が消える感覚を何度味わってきただろう」と、これまでの経験や無念な思いが頭をよぎります。しかし、説明を始めたタツミさんの視線の先にいたのは……。そして最後、ミカヅキさんは「タツミさんを疑った自分を恥じた」と深く感謝するのでした。

 ミカヅキさんとタツミさんとの強い信頼関係を描いた漫画は、ツイッターで3.3万件もの“いいね”を集めました。リプライ(返信)には「気遣いが素晴らしすぎる」「私も相手の気落ちを思って接していきたいなと気づかされました」「泣きそうになりました」「勉強になる」「心が温かくなった」「こんな大人になりたい」など、感動の声が多数寄せられています。