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からだ・美容

髪はなぜ薄くなる? 若年層の薄毛は生活習慣の乱れが原因の場合も 最新治療を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

正しいヘアケアで頭皮の乾燥を防ぐことも大切

洗髪後はしっかりとドライ。乾かしすぎには要注意(写真はイメージ)【写真:写真AC】
洗髪後はしっかりとドライ。乾かしすぎには要注意(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 髪を育むためには頭皮環境を整えることも重要です。汚れが残っていたり、シャンプー剤やスタイリング剤が残っていたりすると、髪の成長を妨げてしまいます。

 頭皮の乾燥、べたつきも抜け毛、薄毛のもとに。頭皮が乾燥すると、潤いを保とうと過剰に皮脂が分泌され、べたつき、雑菌も増えやすくなります。頭皮トラブルによる「脂漏性脱毛症」になる可能性もありますので、頭皮ケアも正しく行いたいものです。

 頭皮の乾燥を防ぐためには、シャンプーから見直すといいでしょう。また、湯温が熱すぎると必要な皮脂も流してしまうので、シャワーは体温に近い38度くらいのぬるま湯に設定してください。

 シャンプーは、手で軽く泡立ててから髪の毛、頭皮にのせるようにしましょう。シャンプーを直接髪にのせごしごしと泡立てると摩擦が起き、髪と頭皮にダメージを与えてしまいますのでご注意を。顔と同じように優しく丁寧に時間をかけて洗い、すすぐことが大切なのです。

 洗った後は、放置せずにドライヤーで乾かしましょう。濡れたままでいると、蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。ただし、ドライヤーのかけすぎは乾燥のもとなので、タオルでしっかりと水分を拭き取り、ドライヤー時間を短くする工夫をしてください。

 頭皮の乾燥が気になる人は、頭皮用の美容液やローションをつけるのもいいですね。天然オイルを使ったマッサージも乾燥が防げ、血行も良くなるのでおすすめです。オイルを使わなくても、頭皮マッサージをすることは抜け毛予防になりますので、習慣にしましょう。

過度な抜け毛に悩んだらまずは皮膚科へ

 比較的男性に多い、10代、20代の薄毛。AGAだけでなく、病気が原因のこともありますので、同年代と比べて髪が極端に少ない、急に抜け毛が増えたという時は、病院を受診してみましょう。

 薄毛に対する治療法もだいぶ確立されてきました。厚生労働省で認可されている「プロペシア」という内服薬があります。男性ホルモンの作用を抑え、抜け毛を予防するものです。保険適用ではありませんが、AGAを扱っている皮膚科でも処方してくれます。ただし、プロペシアは胎児に影響を及ぼす可能性があるのと、有効性は限定的なため、女性にはおすすめできません。

「ミノキシジル」は育毛剤にも配合されるようになり、最近よく耳にしますね。毛母細胞が刺激され、分裂・増殖が盛んになり発毛を促す効果があります。ミノキシジルの外用薬も厚生労働省の認可を受けており、皮膚科学会のガイドラインでも推奨されています。

「幹細胞培養上清液」を使った育毛剤も増えてきました。細胞の修復をし、休止期の毛乳頭の成長を促すといわれています。

 内服薬も育毛剤もすぐに効果は表れません。継続することで、少しずつ改善されていきます。抜け毛、薄毛は早めの対処で、進行を遅らせたり発毛を促したりすることが期待できますので、気になったら1人で悩まず医師に相談してください。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。