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10体の仏像が宙に 「令和時代の阿弥陀来迎」に大反響 制作者が語る目標とは
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年末が近づくと、お寺に関する行事が増えますよね。多くの寺院では大仏をきれいにするすす払いが行われ、大晦日には除夜の鐘が鳴り響きます。また近年は博物館で開催される仏像展示も人気を集めるなど、仏教に関心を抱く人は多いようです。そんな中、京都のある寺院では幻想的なイベントが開催されました。それは極楽浄土から阿弥陀如来などがお迎えに来る様子を、多数のドローンに乗せた仏像で表現するという斬新かつ大胆な内容。大きく注目されたこのイベントについて、制作者で仏師の三浦耀山(@biwazo)さんに詳しいお話を伺いました。
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「新しいお寺の形」目指す龍岸寺で4年前から開始
「ぜひ見てほしい。これが令和時代の阿弥陀来迎です」
そんなメッセージとともにツイッターで公開された動画。荘厳な阿弥陀如来像が祀られたお寺の本堂の中で、10体の仏様がゆらりゆらりと輪を描くようにして飛び交っています。それを包むのは、打ち鳴らされる木魚の音や読経の声。まるで極楽浄土へ導かれるような幻想的な空間です。
これは11月23日、京都市下京区にある浄土宗の龍岸寺で行われた「超十夜法要2022」のワンシーン。史上初の「ドローン来迎仏編隊飛行」の様子です。
龍岸寺は開創400年の歴史ある寺院ながら、「一緒にツクろう。新しいお寺のカタチ。」をキャッチコピーに、数々の画期的な試みで知られています。これまでも、第二十四世池口龍法住職やメイドとともに語り合う「冥土喫茶ぴゅあらんど」や浄土系アイドルプロデュースなど、型にとらわれないイベントを開催してきました。
昔からの思いを形に ドローンに乗せてみると…
このドローン来迎仏は、知恩院(京都市東山区)にある「阿弥陀二十五菩薩来迎図」を再現しようと、4年前から始まった取り組みです。先端技術と伝統的技法を組み合わせた斬新な企画を発案したのは、仏像彫刻や修復などを手がける「土御門仏所」(京都市上京区)の仏師・三浦耀山さんでした。
「来迎(亡くなった人を阿弥陀如来と諸菩薩が雲に乗って、極楽浄土からお迎えに来ること)の世界を『立体的に再現したい』という思いは昔からありました。そこで、仏像を宙に浮かす(または浮いているように見せる)方法がないか模索していたんです」
三浦さんは、ドローンが一般にも手に入りやすくなった2018年頃、仏像を乗せてみようと思い立ちます。
「乗せてみたところとても可能性を感じたので、以前から知り合いだった浄土宗の龍岸寺さんに思いを伝えつつお願いしました。すると、快くお寺の法要で飛ばさせてもらうことができたのです」