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「最強の1勝馬」ことエタリオウ 有名引退馬牧場が初めて受け入れた種牡馬の現在
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あと一歩で届かない……歯がゆいからこそ、多くのファンを集めたのかもしれません。元競走馬のエタリオウは、現役時代の成績がJRAで17戦してわずかに1勝。それでも獲得賞金は約2億円と頑張り、「最強の1勝馬」と呼ばれました。2020年に引退し7歳になった現在は、Yogiboヴェルサイユリゾートファーム(北海道日高町)で過ごしながら、年に数頭だけ種牡馬として種付けをしています。最近の様子について、同ファームの岩崎崇文さんにお話を伺いました。
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現役時代の勝ち星は1つでも驚きの賞金額
エタリオウがヴェルサイユリゾートファームにやってきて、ちょうど2年が経ちます。父のステイゴールドは、産駒(子ども)に競走馬として大切な抜群の勝負根性を伝える一方、やんちゃな気性も遺伝するタイプでした。そのため岩崎さんは、迎え入れる前に少しかまえていたのだそう。
「最初は血統的にちょっとかまえました。でも普段の手入れはおとなしいです。馬房から放牧地に出し入れする時にちょっとうるさいですが、入る時に後ろ脚で立ち上がるくらいですよ」
今は朝6時頃から放牧され、午後3時30分から4時の間には馬房に帰る生活です。そんな中、同ファームの公式ツイッターは11月中旬、馬房でわらの布団の上に寝転ぶ動画を公開。リプライ(返信)には「いい筋肉してる」「エタリオウさんもYogibo使う日が来る?」といった声が集まりました。
現役時代の勝ち星はデビュー2戦目、2017年10月に出走した2歳未勝利(注:レース名)の1つだけ。ただ2着は7回もありました。2着以内に日本ダービーの出走権が与えられるG2の青葉賞や3着以内に菊花賞の出走権が与えられる神戸新聞杯、G1の菊花賞などです。そうして積み上がった本賞金は、合計で1億9570万円。G1などのグレード制が導入された1986年以降、1勝馬(1勝しかしていない馬)での最高額になりました。
ジャパンカップや有馬記念にも出走しています。もう少しのところで届かない2回目の1着に多くのファンが声援を送り、いつしか「最強の1勝馬」と呼ばれるようになりました。
しかし、待望の2勝目は挙げられず、2020年12月に引退。同ファームでの生活をスタートさせました。引退直後にはファンから手作りの無口(馬の頭に装着する馬具)が贈られたそうです。