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日本の紅茶が頂点に 英国で初の国際ティーコンテスト スチュワード麻子さんがレポート

公開日:  /  更新日:

著者:スチュワード麻子

表彰会場での一枚【写真:UK Tea Academy】
表彰会場での一枚【写真:UK Tea Academy】

 2016年に英ロンドンで発足した「UKティーアカデミー」は、世界の茶葉に関した「ティー・プロフェッショナル」の資格認定プログラムを提供する英国唯一の機関。そこでただ1人の日本人講師がスチュワード麻子さんです。紅茶の奥深さや魅力を広く伝えるため、インストラクターやコンサルタントとして活躍中の麻子さん。英国の人気ドラマを用いるなど分かりやすい解説で人気を集める一方、権威あるさまざまなティーコンテストで審査員を務めています。先日も英国で開催された国際的なコンテストに参加し、日本の紅茶が世界のトップに輝いた瞬間を目の当たりにしました。ティーコンテストとは一体どんな形式で行われるのでしょうか? そこで麻子さんに、白熱した会場の様子を教えていただきました。

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英ロンドンで開催された国際的なティーコンテスト

 水よりも多く紅茶を消費する国・英国で、2022年10月に初めてのインターナショナルティーコンテスト「ザ・リーフィーズ」が開催されました。

 主催は茶類全般の資格授与機関であるUK Tea Academy(UKTA)。UKTAダイレクターのジェーン・ペティグリュー氏は故エリザベス2世女王からBEM(British Empire Medal)を授与された世界的に有名なエキスパートで、UKTAには「フォートナム&メイソン」や「トワイニングス」など英国内の紅茶会社や、「ザ・リッツ・ロンドン」など有名ホテルの他、インドのダージリンやネパール、台湾、中国から茶園のマネージャーも資格取得に訪れます。

 UKTA講師で日本校ティーアカデミージャパンの代表でもある私も、審査員の1人として「ザ・リーフィーズ」に参加。貴重な体験をしてきましたので、熱気のあふれる世界のお茶のコンテストと、ロンドンの高級百貨店「フォートナム&メイソン」本店で執り行われた華やかな授賞式の様子をお伝えします。

 今回のコンテストは緑茶、紅茶、烏龍茶、白茶、黒茶(プーアル茶など)の部門に、さらに紅茶は「インド、スリランカ産部門」と「中国、台湾、ミャンマー、ベトナム、日本部門」、「その他の国部門」に分かれて、それぞれが金賞、優秀賞を競いました。

 ロンドンの会場での5日間にわたる審査は、ジェーン・ペティグリュー氏の他に「フォートナム&メイソン」をはじめ英国紅茶会社のティーバイヤー、ロンドンの有名お茶専門店オーナー、スリランカと中国、台湾のお茶エキスパートに加えて、日本茶大使でもある私の8名で行われました。

さまざまある、世界のお茶の審査方法とは

 審査方法は「ブラインド審査」といわれるもので、審査員は目の前のお茶がどこの国の誰が作ったお茶なのかは分かりません。運ばれてくるのは茶葉、茶がら、淹れたお茶の3点。茶葉や茶がらからはいろいろな情報が見て取れますので、これらも大切な審査対象です。

 6月に私が審査員を務めた英国の別のフードコンテスト「グレート・テイスト・アウォード」お茶部門でも、同じようにこの3点でのテイスティングを行いました。そこでは一度に10点近くのお茶が淹れられて、審査員3~4名が端から順番にテイストし、その場で評価を下します。

 対して「ザ・リーフィーズ」ではお茶を1点ずつテイストし、評価表に従って各自が審査結果を記入します。他審査員がどのような評価をしているのかは発表するまで分かりませんが、部門ごとに専門審査員が簡単な説明を行います。

 例えば紅茶専門の審査員がプーアル茶の審査に加わった場合、専門家の説明なしでは評価基準が難しかったりするからです。私は元々紅茶が専門で、ロンドンのティーブローカー(買い付けや品質管理などを請け負うテイスティング専門会社)からスタート。今は教育がメインですが、在英22年の間に起きた日本茶ブームで日本茶の需要が高まったことから日本茶インストラクター資格を取り、2016年からは日本茶大使として活動しています。

 そのため、今回は紅茶部門、緑茶部門を中心に審査に参加し、「中国、台湾、ミャンマー、ベトナム、日本の紅茶」部門では、日本の紅茶について専門審査員として説明する機会をもらえました。